エリザベス1世の着用ドレス、小さな村の教会で発見!

© Historic Royal Palaces / David Jensen
(下)花や植物を中心に蝶や鳥のほか、狩りや釣りを楽しむ場面が刺繍されている。

■ウェールズとの国境に程近い、ヘレンフォードシャーの小さな村にある教会で使われていた祭壇布が、エリザベス1世(1533~1603)のドレスの一部であったことが判明。しかも、その布が「虹の肖像画」=写真右端=と呼ばれるエリザベス1世の晩年の姿を描いた有名な作品において、彼女が身にまとっていたドレスであったことから、研究者の間で大きな話題となっている。英各メディアが報じた。

発端は、王室ゆかりの宮殿を管理するチャリティ団体「ヒストリック・ロイヤルパレス」のコレクション・キュレーター、エレリ・リン氏が、2016年にたまたま目にした1枚の写真。ヘレンフォードシャーの小さな村、バクストンにあるセント・フェイス教会の祭壇にかけられていた布が、「16世紀後半のもの」に見えたという。
バクストンといえば、エリザベス1世の誕生時から仕えていた女官で、寝室係の責任者を務めたブランシュ・パリー夫人の出身地。彼女が退官するときに、女王から「贈り物」を受け取ったことを知っていたリン氏は、「もしかしたら…」との期待を胸に、すぐに教会を訪ねた。
イタリア産の最高級シルクに、金銀糸をふんだんに用いた華やかな刺繍が施された布は、明らかに宮廷用ドレスを切り取ったものであることは一目瞭然だった。しかも、チューダー朝時代に金銀糸の着用を許されたのは、王族と伯爵以上の高位貴族のみ。使われている銀糸だけでも、16世紀当時の「家1軒分」に相当する金額が支払われただろうことが推測された。
リン氏はハンプトンコート宮殿に布を持ち帰り、歴史家、ブランシュ・パリーの伝記を執筆した作家、教会の元責任者らとともに3年かけて慎重に調査した結果、それが1600~02年に描かれたエリザベス1世の最晩年の肖像画「虹の肖像画」(ハットフィールド・ハウス所蔵)で、エリザベスが着ていた白いドレスであることが分かった。しかしパリー夫人は1590年に亡くなっているため、この布は「退官記念の贈り物」ではなく、彼女の死を悼んだ女王か後輩女官が、パリー夫人の出身地の教会へ寄付したと考えられている。 「着道楽」だったエリザベスは大量のドレスを所有していたものの、現存しているのは手袋や乗馬用ブーツといった装飾品だけ。ドレスの布地が発見されたのは、非常に珍しいケースだという。この布地は、ハンプトンコート宮殿で開催中のエキシビション「The Lost Dress of Elizabeth I」にて、「虹の肖像画」とともに展示中(2020年2月23日まで)。

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By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)