【高層集合住宅火災】死者30人に―死を招いたのは外装仕上げ材か

14日深夜過ぎ、西ロンドンのノース・ケンジントンにある24階建ての集合住宅「グレンフェル・タワーGrenfell Tower」で起こった大火災で、日を追うごとに死者数が増えている。16日現在では30人となっているが、身元確認が不可能とされる遺体もあると見られている。
870万ポンドの工費をかけた改装作業が昨年6月に完了したばかりのグレンフェル・タワーで、なぜ、ここまで被害が拡大したのか。大きな理由として次の2点が指摘されている。「デイリー・メール」紙などが伝えている。
ひとつは、改装作業の際にグレンフェル・タワーにほどこされたという外装仕上げ材(cladding)。1974年完成である同タワーの外観を見栄え良くするため、そして、暖房効率を高め、ひいては環境ガス削減につなげる目的でほどこされたと考えられている。
問題はその材質だ。
この外装仕上げ材のメーカー「Reynobond」によると、グレンフェル・タワーに使われたのは、中心が「polythene」(ポリエチレン)である「PE」と呼ばれる製品で、可燃性かつ、燃えると有毒ガスを発生することから、米国では高さ12メートル以上の建物に使用することは禁止されているという。
同社では耐火性のパネルも製造販売しており、可燃性の「PE」パネルが1平方メートルあたり22ポンドであるのに対し、耐火性パネルは2ポンド高いだけと説明されている。
グレンフィル・タワー全体の外壁部分は2000平方メートル余りとされており、改装作業にあたった建築業者が、わずか5000ポンドほどをけずるために、「PE」パネルを選んだ可能性があり、今後、この建築会社への責任が問われることになりそうだ。
ふたつめはスプリンクラーが設置されていなかったこと。英国では2007年以降に建てられた30メートル以上の建築物については設置が義務付けられているが、1974年完成のグレンフェル・タワーなどは規制の対象外。ただ、消防庁によると、スプリンクラーの設置費用は、グレンフェル・タワー規模で約20万ポンドであるといい、改装作業が計画された際に、なぜ組み込まれなかったかが問題視されることになるだろう。
ちなみに、「タワー・ブロック」と呼ばれる、
都市部に多い高層集合住宅(もともと低所得者層を対象に建てられた「カウンシル・フラット」〈カウンシル=自治体〉にこのスタイルが少なくない)は、イングランドニ2925棟あるが、そのうちスプリンクラーが設置されているのは2015年の調査では18棟にしか過ぎないとする報告もなされている。
スプリンクラー設置=高すぎるという理由で2011年にも保守党政府が、古い高層カウンシル・フラットへのスプリンクラー設置への要望を却下したことについても改めて非難の声があがっている。

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