昨年12月、英国内の主要映画館で、英国国教会による1分間の公共広告の上映が禁止された。大ヒット映画「スターウォーズ」の新作公開で、多くの観客が訪れることを予想した映画館側が、キリスト教の広告に対して不快感を覚える人がいるかもしれないという『政治的に正しい』配慮からとった措置だった。
多様な宗教や価値観が混ざり合う英国ならではの出来事といえるが、それから4ヵ月あまりたった今、思わぬ事態となっている。というのも、バスの側面の広告スペースにイスラム教の宗教的メッセージを大きく入れた広告がお目見えしたからだ。
広告にはアラビア語で「Subhan Allah(『アラーに栄光あれ』)」の文字が大きく記されている。断食が行われる「ラマダーン」(ヒジュラ暦の第9月)が今年は西暦の6月にあたることから、それにあわせてイスラム教系慈善団体の「Islamic Relief」が出資するキャンペーン広告。「ラマダーン」は、施しの期間でもあり、シリアの内戦で苦しむ難民などを支援するための義援金を募る目的もあると説明されている。
ロンドン内のバスを管理しているロンドン交通局は「政党や政治的主張に関する広告を出すこと」を禁じているものの、宗教的なものについては制約がないという。
キリスト教関係者たちからは「キリスト教の広告は禁止されたのに、イスラム教は許さるのか」と反発の声があがっている。元保守党議員アン・ウィドコム氏は「もしキリスト教以外の宗教の広告が許されるのであれば、キリスト教にも許可されるべき」だとコメント。また、キリスト教系団体「Christian Concern」の代表アンドレア・ウィリアムズ氏は、今回の件は、『政治的に正しい』配慮により逆にキリスト教側に大きな制約が加えられがちであることが、明確に示されたと訴えている。
「Islamic Relief」代表のイムラン・マッデン氏は「イスラム教に関してマイナス・イメージの強い問題が続いているだけに、世間の認識を少しでも変えたい」と広告の意図について述べている。
この広告は、英国内のイスラム教徒推定300万人の半数が住むとされるロンドンに加え、マンチェスター、レスター、バーミンガム、ブラッドフォードでも掲げられる予定という。

















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