30ポンド以下の買い物なら、PINナンバー(暗証番号)を打ち込まなくても清算ができる「コンタクトレス・カード」。便利であることから英国でも著しい速度で浸透しているが、その裏で、テクノロジーに疎い高齢者のコンタクトレス・カードを悪用するケースが増えていることが明らかになった。「デイリー・メール」紙が報じた。
高齢者虐待問題に取り組む福祉団体「Action for Elderly Abuse」によると、「親戚や介護人が自分のカードを悪用し、少しずつお金を使っている」という高齢者からの苦情が相次いでいるという。
2015年に高齢者に対し金銭的な不正を働く事例は7700件に上ったが、その半数以上が、定期的に金銭をだましとられているケースであることが判明した。被害総額は1900万ポンドにも達する。『犯人』とされるのは肉親が多く、80歳以上の女性が被害者となる例が最も多いことも分かった。
コンタクトレス・カードを使えば、1回の支払いは30ポンドまでと上限が設定されているものの、PINナンバーを知らなくても支払いをすることができる。つまり、小額であれば、誰でも容易に、カードの持ち主に断ることなく支払いを行うことが可能。
さらに悪いことには、コンタクトレス・カードを持つ高齢者の多くが、それがコンタクトレスだと気づいていない場合が少なくないという。コンタクトレスでないカードを使っていても紛失したり期限が切れたりした場合、現在、多くの金融機関で、顧客の要望をたずねることなく、勝手にコンタクトレスに切り替えた新しいカードを送付しているのが現状。バークレイ銀行のように、強制的にコンタクトレス・カードへの切り替えを行っている金融機関もある。
また、被害者は、金を盗まれていることに気づいても、家族や友人、ヘルパーなどに様々な事情で依存しているため、届け出ないことが多いという。詐欺被害防止団体「Financial Fraud Action UK」は、「定期的に明細をチェックし、もし身に覚えのない支払い履歴を見つけたら銀行に確認すること、盗用や詐欺にあったら必ず警察に届け出ること」とアドバイスしているが、目をつぶる被害者がこれからも後を絶たないことが予想される。
高齢者を狙った詐欺は許されるべきではないが、老後問題や介護がからむため、一筋縄ではいかない。コンタクトレス・カード自体を見直す必要が今後、出てくるかもしれない。

















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