英国のNHS(国民医療サービス)では、身体に異状をきたした場合、まず地域のGP(地元医)のもとに赴いて診断をあおぎ、そこで治療を受けたり、薬を処方されたりするほか、大きな病院でさらなる治療が必要である場合には手配をしてもらう形になっている。
イングランド南部の港街、ポーツマスで診療を行う「ハンウェイ・メディカル・プラクティス」で、4時間待ちの人さえ出るという長い長い行列ができ=写真(「デイリー・メール」紙より)、道行く人々の目をひいたことを「デイリー・メール」紙が報じた。
何か流行性の病気が発生したのか、と心配になる光景だが、その列に並ぶのはほとんど元気な人ばかり。実は、その診療所で働くGPのひとりが32年間の勤務を終えて引退することが発表された途端、お礼とお別れにひと目会いたいという要望が殺到。同診療所では土曜日の午後も開けて、お礼のメッセージを記したカードやプレゼントを手に、次から次へと訪れる人々の対応に追われたという。
これほどまでに慕われていることを改めて知ることとなったGPは、リチャード・ヒューズ医師(60)=写真右下。1977年に医師免許をロンドンで取得した後、ポーツマスの診療所に着任。以来、同地で診療ひとすじという人生を歩んできた。
結婚して3人の子供もあるというヒューズ医師は、流れ作業のように診断、薬の処方を繰り返すのではなく、ひとりひとりの患者の話にじっくりと耳を傾ける、昔かたぎのタイプ。必要なら往診にも出かけ、地元の人々のために尽力してきたという。
みずからの引退宣言の反響に驚くと同時に「感動した」と話すヒューズ医師は、「ここで診療に携わることができて、本当に幸運。多くの人々の人生に関わってきたが、患者さんの数だけ『物語』があり、それらはすべて大切な思い出」と32年間をふり返っている。


















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