ロンドン中心部のマーブル・アーチといえば、高級住宅街メイフェアからもほど近く、市民の憩いの場ハイドパークへの入り口でもある。このマーブル・アーチで、集団で路上生活を送る旧東欧からの移民たちに、地元自治体のウェストミンスターが手を焼いていることを、「イブニング・スタンダード」紙が報じた。
マーブル・アーチに、冬のある朝、ウェストミンスターの職員たちの断固たる声が響き渡った。
「起きるんだ。ここから退去しなさい」
約15名の路上生活者たちは、眠い目をこすりながら起き上がると、大きな黒いゴミ袋につめた所持品などをひきずってのろのろと歩き去った。
しかし、職員たちの姿が見えなくなると、路上生活者たちはまた、同じ場所に集まってきて、雑談を始めたという。どれだけ追い払っても、こうして戻ってくる路上生活者たちに、警察も自治体も有効な策を打ち出すことができずにいる。ルーマニアがEUの加盟国であるため、同国のパスポートを保持する限り、英国への入国は合法で、人権問題の観点からもなすすべがないというのが実情だ。
ここで路上生活を続ける、28歳のルーマニア人女性は、「くに(故郷)には、2歳、7歳、9歳の子供を置いてきた。実家で母が子供たちの面倒をみてくれている」と説明する。ルーマニアには食べるものがなく、路上生活であろうと、食べられるだけここはましだという。「学校に行けないどころか、飢えで死んでいく子供も少なくない。ここで物乞いをして、少しでも故郷に送金できればと思っている」と話している。
英国での就労に関し、ブルガリアとルーマニア国籍者に設けられていた制限が、年明けから撤廃されたのをうけ、向こう5年間でさらに7万人が移住してくると予想されており、路上生活者の数も増えるのでは、との懸念が高まっている。

















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