商店街のシャッターや電車などにスプレー缶で描かれる落書き(グラフィティ)は実に迷惑なもの。それでも中には思わず見入ってしまうほど完成度の高い落書きもある。それどころか、英国内外でその存在に注目が集まる正体不明の落書き作家「バンクシー(Banksy)」の作品のようにオークションにかけられた上、高額で落札される落書きもある。
ところが昨今にわかに話題になっているのは落書きではなく、作者不明の謎の手編みアイテム。その作品の可愛らしさに英国中の関心が集まっている。「メトロ」紙が伝えた。
話題となっているアイテムが出現したのは、北海に面した北ヨークシャーのソルトバーン・バイ・シー。この小さな町の海岸で、ある晩何者かがお手製ニットアイテムの数々を、ビーチ沿いの柵にそっと巻きつけていった。カラフルなロバからマーメード、日光浴をする人々やソフトクリーム、そして英国名物のフィッシュ&チップスなどなど=写真(「メトロ」紙より)。誰が編んだのか、なぜここに置いたのか、ニュースはメディアを通してたちまち全国を駆け巡った。
どうやらこれは町の人たちが目論んだ「町起こし」の一環らしい。しかし実際に数々のメディアが謎のニット製品を取り上げ、作者探しに奔走し、この片田舎の小さな町の名前がにわかに全国区となっていることから、作戦は大成功と言えそう。
自らも編み物をするというカフェ経営者のエドナ・ヴァーノンさん(78)は「誰が編んでいるのかですって? もちろん知らないし、そんな野暮なこと聞くものじゃないわ。誰が何のために編んでいるのか、誰も知らないってことが一番大切なのよ」といたずらっぽく笑った。


















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