イングランドで、しばしば耳にする「不法占拠(squatting)」。使用されていない(と思われる)不動産や土地に、所有者の了承なしに侵入して居座る行為のことで、起源は1649年にまでさかのぼるという。もともとは、富裕な地主への抗議の印として行われたとされるが、それ以来、イングランドでは比較的、「不法占拠者(squatter)」には寛容な態度が示されることが多かったという。また、慣例として、12年間占拠し続ければその土地または不動産の所有権を占拠者は主張することが可能とされてきたのも、イングランドならではのことだった。
しかし、近年になって、所有者が休暇や病気療養で家を空けている間に不法占拠するという悪質な行為が多発。警察もとる術がなかったため、深刻な社会問題としてとらえる世論が高まり、ついに2012年9月1日より、イングランド&ウェールズでは、不法占拠を違法とする条例が施行されたのだった。違反者は、6ヵ月の禁固刑か5000ポンドの罰金、あるいは両方を科されると定められている。
この条例が施行されてから半年。ロンドンのメトロポリタン警察(日本の「警視庁」に相当)から発表された数字によると、不法占拠数は75件、逮捕者は92名にのぼり、そのうち41名がルーマニア国籍だったことを「イヴンイング・スタンダード」紙が報じている。ポーランド人(16人)がこれに続き、3位は英国人(13人)だった。
ルーマニア国籍者による不法占拠数がすでに突出していることについて、強い懸念声が聞こえている。というのも、来年、ルーマニア人およびブルガリア人に対して英国が設定してきた就労制限が撤廃されるのをうけ、大量の移民が両国から英国に流れ込んでくることは必至とされているためだ。移民が集中すると予想されるロンドンでは、不法占拠を防ぐためのさらなる方策が求められることになるだろう。

















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