■ 交際相手を山や旅先で意図的に置き去りにする行為が、SNS上で「アルパイン・ディボース(山岳離婚)」と呼ばれ、波紋を広げている。各メディアが報じた。

「アルパイン・ディボース(山岳離婚)」という言葉は、スコットランド出身でカナダに移住した短編作家、ロバート・バー(Robert Barr)が使ったのが最初。1893年発表の同作は、結婚生活に不満を抱く夫が妻をスイス・アルプスで殺害することを計画するという筋書だった。現在では、主にハイキングや登山中に、男性パートナーが突然先に進み、女性をひとり残すケースを指す。感情的な決別の意思表示やゆがんだ支配欲の表れともされ、深刻な結果を招く恐れがある。
この言葉がオンライン上で盛んにみられるようになったのは、昨年1月に起こった事件が影響している。オーストリアで33歳の女性が、経験豊富な登山家だった交際相手に山中で残され、低体温症で死亡する事件が発生。男性は、過失致死で有罪判決を受けた。公判では、過去の交際相手にも同様の行為をしていたことが明らかになった。TikTokでも、別の女性が「山に一緒に行ったのに彼に置いていかれた」と涙ながらに訴える動画が1900万回以上再生され、コメント欄には「グランドキャニオンで置き去りにされた」「トレイルで見捨てられた」といった体験談が相次いだ。
「アルパイン・ディボース」は法的用語ではないが、同行者には安全配慮の義務がある。生存を脅かす状況に故意に置けば、刑事上の過失責任を問われ得る。心理学者エマ・ケニー氏は「『あなたは使い捨てだ』という強いメッセージを与える、極めて有害で虐待的な行為」と指摘。支配や懲罰の意図、あるいは相手を軽視する心理が背景にあると分析する。被害は山中に限らない。35歳の女性は、真冬のベルリンで携帯のバッテリーが切れ、薄暗い中で突然姿を消した恋人に置き去りにされたと証言。「泣き崩れるまで戻らず、私のそんな姿を見て彼は笑っていた」という。2人はその後、別れた。専門家は、「アルパイン・ディボース」は一時的な流行語に終わる可能性が高いとしつつも、SNSにより被害者同士の連帯を生む側面もあると話している。 By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)








































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