■ サイバー攻撃による被害の実態と企業の弱点について、英国で議論が高まっている。多くの場合、報道されるのは大企業がターゲットになった事件だけだが、会社規模の大小に関係なく狙われていることが明らかになったという。各メディアが報じた。

昨年8月末、自動車大手「ジャガー・ランドローバー(JLR)」が大規模攻撃により生産停止に追い込まれ、世界の工場が1ヵ月以上影響を受けたことは記憶に新しい。損失は週5000万ポンド規模だったと推計される。収益基盤の強い同社にとって致命傷ではないものの、同様の被害は小売業や空港関連企業など幅広い分野で発生しており、政府調査では英国で企業約61万社、慈善団体6万1000団体が攻撃対象となったことが判明している。零細・小企業も標的になっており、被害平均額は7960ポンドだったという。
サイバー攻撃の影響は、被害企業にとどまらない。JLRのような大企業の生産停止は多数の取引先(下請け会社など)に波及し、資金繰りがひっ迫する中小企業も出る可能性がある。小売大手では数億ポンド規模の損害例も報告されており、顧客情報流出など信用面の打撃も深刻だ。専門家らは、攻撃の背景には身代金要求型ウイルスの入手が容易になったことがあると分析。ロシア語圏犯罪者だけでなく、英語圏の若年ハッカーが関与する例も増えているという。企業側の弱点としては、在庫を最小限に抑える「ジャストインタイム」方式に代表される、高度に連動した供給網が挙げられる。効率性向上に役立っている一方で、IT障害が生じると連鎖的に混乱が広がりやすい。ただし、在庫拡大は莫大な費用が伴うため、運用変更は現実的でないとの見方もある。
空港システムへの攻撃が運航に影響した事例もあり、金融やエネルギーなど重要インフラが標的となれば、経済的打撃はさらに拡大する可能性が高まる。専門家らは、近年の被害増加は政府と企業双方の対応遅れの積み重ねの結果だ、と警鐘を鳴らす。AIを用いた攻撃の高度化も懸念される中、規制強化や防御体制の見直しが急務となっている。 By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)








































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