テレビの料理番組…絶滅する日は近い?

■英国で長年親しまれてきたテレビの料理番組が、いま急速に姿を消しつつある。かつてはキース・フロイドさんやリック・スタインさんら名物シェフが登場し、調理と軽妙なトークを楽しむ番組がゴールデンタイムを賑わせていた。しかし近年、こうした「スタジオで作って語る」形式の新作は激減。今年に入ってBBCで新たに制作された30分枠の料理番組はゼロ。調査会社アンペア・アナリシスによると、英国全体での料理番組の制作本数はこの1年で44%も減少したことが分かった。BBCが報じた。

クロワッサンとドーナツを融合させた「クロナッツ」。流行を牽引(けんいん)したのはインターネットだった。

一方で、料理動画そのものの人気が落ちたわけではない。舞台を、テレビからYouTubeやインスタグラム、TikTokへ移し、視聴数はむしろ爆発的に伸びている。例えば豆料理で人気を集めるインフルエンサーのナタリア・ルーディンさんは、何気なく投稿した動画が100万回再生を超え、いまやフォロワーは150万人。大手スーパーで豆の売り上げが急増するなど、消費行動にも影響を与えている。また、元料理人のベン・エブレルさんが率いる「Sorted Food」も登録者約300万人を誇り、テレビ局側が逆に彼らのファンを取り込もうとする時代になった。

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こうした変化を象徴する例として語られるのが、クロワッサンとドーナツを融合させた「クロナッツ」だ。流行の兆しをネットの声から即座に察知し、レシピ動画を公開できる機動力は、企画会議や審査を重ねるテレビ制作では真似が難しい。規制や制作コストの低さ、そして何より視聴者との距離の近さが、ネット動画の強みとなっている。料理番組の衰退は、単なるジャンルの流行の変化ではなく、メディアの主役がテレビからオンラインへ移ったことを示す。専門家は「勝っているのは特定のプラットフォームではなく、選択肢を手にした視聴者だ」と指摘する。形は変わっても、人々が食を映像で楽しみ、物語を共有したいという欲求自体は、これからも続いていくとみられている。 By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)


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