大型セルフサービス端末で売上アップ! その陰に「行動科学」

■ 英国北西部マージーサイド、バーケンヘッド郊外の工業団地で、買い物の未来を形作る企業が静かに存在感を高めている。大型のセルフサービス端末を手がける、英国の「エボーク・クリエイティブ」社だ。マクドナルドやホテル、図書館など、街のあらゆる場所で見かける大型タッチスクリーン端末は、同社のような企業が支えている。BBCがスポットを当てた。

こうした端末が外食チェーンを中心に急速に普及している理由の一つが、売り上げを大きく伸ばせる点にある。その背景にあるのが「行動科学」だ。人がどのように判断し、なぜその選択をするのかを研究する分野である。創業者で最高製品責任者のディーン・ウォード氏は、「人と話して判断されていると感じる心理を取り除けることが大きい」と語る。対面で注文する時には断りがちなサイズアップや追加注文も、端末相手なら気兼ねなく選びやすいという。

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端末には魅力的な商品画像が表示され、関連商品も次々に提案される。時間をかけて検討でき、繰り返し「追加しますか」と促されることで、自然と購入額が増える。実際、技術提供企業ヴィタ・モジョの調査では、利用客の61%がレジより端末の方が多く支出し、1回の注文額が最大40%も増えるケースもあるという。

企業が心理を利用してきた歴史は古い。1940年代には米たばこ会社が「医師が選ぶ銘柄」と宣伝し、権威への信頼を利用した。現在も歯科医推奨の歯磨き粉などにその名残がある。行動科学では、これを「権威バイアス」と呼ぶ。この分野は商業だけでなく、公共政策にも応用されている。英国で2012年に始まった年金の自動加入制度は、「初期設定を変えない」人の傾向、いわゆるデフォルト・バイアスを活用し、1000万人以上の加入増につながった。さらに、音楽がワインの売れ行きを左右する実験や、国連・世界食糧計画(WFP)が行動科学を取り入れたテレビ番組で、食習慣を改善したという事例もある。企業から政府、国際機関まで、私たちが気づかぬうちに選択を後押しする仕組みは、日常のあらゆる場面に広がっている。 By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)


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