■座席に収まりきらない男性の姿を捉えた写真がSNSで拡散されたことで、航空会社に「プラスサイズ(大柄)の乗客」に対するルール見直しを求める声が高まっている。「デイリー・メール」紙(電子版)が報じた。この写真を最初に投稿したのは米ワシントンDCを拠点とする消費者支援団体のクリストファー・エリオット氏。同氏は昨年、ヘルシンキ発コペンハーゲン行きのフライトで乗客が通路側の座席に座るのに悪戦苦闘している様子をフェイスブックに投稿した。

さらにこの投稿を取り上げたのがマイアミ出身のヒップホップグループ「プリティ・リッキー」。同グループは「座席に収まらない人にとって飛行機に乗るのは非常に困難なものだ。隣の乗客も楽ではない。どちらの立場にも配慮した『中間解』が求められる。航空会社には全ての人を受け入れる仕組みが必要だ」と訴えた。この投稿は瞬く間に議論を呼び、コメントは1600件を超えた。コメントには「1席に収まらない場合は2席分の料金を払うべきだ」とする声が多かった。さらに「肥満は大抵の場合、医学的な理由ではなく生活習慣の選択によるものだ。その選択には当然、責任も伴う」。またある人は「隣の人の体がはみ出してきたせいで自分のスペースが奪われるのはおかしい」「搭乗前に体重を計測すべき。荷物と同様、搭乗前に人間も体重計に乗るべきだ。オーバーサイズの場合は2席分のチケットが必要」「荷物は重さで追加料金を払っているのに、乗客には適用されないのは不公平だ」とする声も。

一方、こういった声に「人権侵害だ」と反発する声も多い。「体の大きい人々に対して向けられる嫌悪感や偏見にはもっと共感と配慮が必要だ」「低所得層が手に入れられる食品はすでに健康被害の訴訟対象になっている。太るのは単に『食べすぎ』ではない。鬱の薬や避妊薬なども体重増加の原因だ。貧困層ほどそれらを服用している」といった意見も見られる。
この議論はふくよかな旅行ブロガー、ジェイリン・チェイニーさん(28)の発言でさらに加熱。米ワシントン州在住のチェイニーさんは「減量しろ」「ビジネスクラスを買え」といった批判に「私の体をスーツケースと同じように扱うの? 体重課金はファットフォビア(肥満嫌悪)でしかない。私は荷物じゃない」と反発。自身はUKサイズ24(6XL)だと明かし「他人の快適さのために自分の体を小さくする義務はない」と強く訴える。「そもそも航空機の座席は私のような体型の人のために設計されていない。減量がそれほど簡単で、万人に通じる解決策だと思わないで。ビジネスやファーストクラスは解決策ではない。しかも私の体には小さい。価格も現実的ではない。変えるべきは人ではなく制度そのもの」と主張。「太っている人間に『家にいろ』と命じるのは、解決ではなく排除」とし、「米国政府は『肥満者の平等権利章典』と『肥満者アクセシビリティ法』を制定すべきだ」と訴えている。 By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)
