■4月28日昼頃、スペイン、ポルトガル、フランスの一部で大規模な停電が発生。インターネットや電話網も機能せず、混乱が広がった。英国でも3月21日、変電所の火災で送電がストップし、ヒースロー空港が終日閉鎖されたばかり。生活インフラの多くを電気に依存する現代。国家レベルの大停電が発生した時、一体、何が起きるのか。BBC(電子版)が伝えた。

ピーター・ヒューズさんが異変に気付いたのは、マドリード行きの列車が速度を落とし始めたときだった。やがて列車は完全に停止した。それから4時間後、ヒューズさんは依然、マドリードから約200キロ離れた場所で列車内に閉じ込められていた。食料と水はあったがトイレは使えなかった。「もうすぐ日が暮れる。このまま何時間も閉じ込められるかもしれない」。ヒューズさんは不安に駆られた。
ジョナサン・エメリーさんはセビリアとマドリードの中間を走行中の列車に乗っていた。停電発生後、エメリーさんは閉ざされた車内で1時間待機した後、乗客たちが手動でドアをこじ開けて換気を確保した。さらに30分後、乗客たちは列車を降りたものの、周囲に何もない場所で立ち尽くすことになった。そのとき近隣の村人たちが水やパン、果物などの差し入れを始めた。「誰もお金を受け取ろうとしない。町中に話が広まっているらしく次々と支援物資が運ばれてきた」とエメリーさんは語った。
マドリードでは通勤客が暗闇の中で混乱に陥った。市内の地下鉄駅で停電が発生した瞬間、乗車中だったサラ・ジョヴォヴィッチさんは電車を降りたところで突然照明が消えたと振り返る。人々は「ヒステリックになり、パニック状態」だったという。地上に出ると道路は大渋滞し、バスも満員だった。「何が起きたのか誰も理解していなかった。商店は閉まり、バスも動いていなかった」とエメリーさんは付け加えた。マドリード市内のスーパー「アルディ」で買い物中だったハンナ・ロウニーさんもレジで商品のスキャン中に停電に遭遇した。ロウニーさんは「国全体が停電するなんて、こんな経験は初めてだ」と話した。
リスボン在住の英国人ウィル・デイヴィッドさんは地下にある床屋で散髪中に停電に見舞われた。理容師はデイヴィッドさんを地上階の窓際へ移動させてカットを続行した。「信号がすべて消え、車も人も入り乱れて道路を行き交っていた。街には彷徨う人々が溢れていた」と語った。また、バルセロナのコピーライター、エロイーズ・エッジントンさんも携帯で断片的なメッセージしか受け取れず、ウェブページの読み込みもできずバッテリー節約に努めた。南東部フォルトゥナの住民レスリーさんは停電発生から1時間半後、夫が発電機用の燃料を求めてガソリンスタンドを探し回ったと語った。
その後、空港では非常用発電機が稼働し、多くの便が予定通り出発できたものの一部はキャンセルされた。リスボンで休暇を過ごしていたトム・マギロウェイさんは月曜日の夜にロンドンへ戻る予定だったが、夕方になってもどうなるか分からない状況だったという。「今のところ飲み物や食べ物を手に入れているが、店側からは『支払い端末のバッテリーが切れるまでしか営業できない』と告げられた」と話した。マギロウェイさんは「フライトがキャンセルになった場合に備えてホテルを予約しようにも、決済システムがダウンしていて予約すらできない」とも述べた。マギロウェイさんのパートナーの両親が迎えに来る予定だったが、ガソリンスタンドの多くが閉鎖、あるいは現金以外の支払いを受け付けていないため、燃料確保にも苦労したという。
マドリード交響楽団のヴァイオリニスト、アイザック・ビフェットさんは朝、リハーサルのためにホールに向かったが、建物は真っ暗で他の楽団員たちもほとんど来ていなかったという。ビフェットさんは「現金を持っていなかったので困った。オンライン決済が完全に停止していたから」とBBCに語った。電力は、マドリードやリスボンなど大半で4月29日未明までに復旧した。原因についてスペインの電力事業者は、フランスとスペインを接続する送電網で供給電力の急激な低下が発生したためと説明した。 By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)








































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