■4月15日にもお伝えしたが、ストリート・ミュージシャンの騒音を巡る裁判があり、レスター・スクエアでのバスキング演奏が禁止される決定が下された。「メトロ」紙(電子版)が伝えた。ウェストミンスター市議会は裁判所の決定を受け、ロンドン中心部にあるレスター・スクエア内の2つのバスカー用演奏区画の使用を停止するよう命じた。

訴訟を起こしたのはレスター・スクエアにオフィスを構えるグローバル社。同社スタッフは仕事中ノイズキャンセリング・ヘッドフォンに頼らざるを得ない状況だったという。裁判官はこの主張を認め、市議会に対し「ストリートミュージシャン(バスカー)による音楽演奏によって生じている騒音という法定公害」を除去するよう命じた。市議会のマット・ノーブル議員は「ストリート・パフォーマンスはロンドンの文化に根付いたかけがえのない存在だが、我々には住民や事業者を守る責任もある。今回の裁判所の判断により、市としては行動せざるを得ない。これはストリート・パフォーマンスをウェストミンスター全域で禁止するものではない。まずはレスター・スクエアでの演奏区画を一時的に停止し、公平な解決策を模索していく」と話した。同地のランドマークの一つ、ヒポドローム・カジノのオーナー、サイモン・トーマス氏も証人として出廷。「『スウィート・キャロライン』を爆音で聴かされながら会議を開くのは正気の沙汰ではない」と語った。
一方、ルールを守って活動してきた演奏者たちからは不満の声も上がっている。ストリート・パフォーマーズ協会代表のウィル・コーク氏は「バスカー全員を『迷惑行為を働く者』として扱ってしまっている点が不公平だ。バスカーの中には演奏収入で食べている人も多く、今回の措置による経済的影響も懸念される」と話した。 By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)