■世界各国の国際問題専門家の間で第三次世界大戦は避けられないという見方が広がっているという。英各メディアが報じた。政治戦略家や未来予測の専門家357人を対象にした最新の調査では約4割(40.5%)の人が「2035年までに米国、中国、ロシアなどの大国を巻き込んだ大規模な戦争が勃発する」と予測した。特に核兵器の使用や宇宙空間での戦闘が起こる可能性が高いとする意見が多かった。背景には2019年にトランプ大統領が設立した米国宇宙軍(Space Force)の影響が大きいと指摘されている。

戦争に次ぐ脅威として専門家の3割(29.9%)が気候変動を挙げた。これは大国間戦争の脅威(27.6%)を上回る結果となった。専門家たちは異常気象による大西洋でのハリケーンの激化と山火事の深刻化を懸念している。ただし希望もある。51%の専門家は2035年までに世界的な協力が進み、気候危機の対策が強化されると予測している。新たなパンデミックが世界の人口に最も深刻な危機をもたらすと考えたのはわずか1.7%に過ぎず、財政負債の増大が2035年までに世界を崩壊させると考えたのもわずか5.1%だった。
AIの進化は人類にとってプラス
人工知能(AI)の進化に対する見方は意外にも前向きなものだった。調査では「AIの発展が世界にとって総じてプラスに働く」と考える専門家が58%にのぼった。一方で「AIによって雇用が奪われる」といった懸念の声はあまり聞かれなかった。しかしアメリカの経済的・技術的優位性については懸念が拡大。「2035年までアメリカが世界の経済的覇権を維持できる」と考える専門家は2024年の52%から49%へと減少していた。
また、今後10年間で新たな国際同盟が誕生し、米国やNATOに対抗する可能性が高まるとする見方も強まっている。47.4%の専門家が「中国がロシア、イラン、北朝鮮と正式な軍事同盟を結成する」と予測した。さらに、65%の専門家が「中国は今後10年以内に台湾への侵攻を試みる」と考えており、これは前年の調査から15%上昇している。加えて、45%の専門家は「今後10年以内にロシアがNATOと直接戦争を起こす」と予測。「第三次世界大戦が起こる」と予測した回答者のうち69%は「ロシアとNATOが直接衝突する」と考えているという。
この新たな調査は、国際安全保障と世界経済の繁栄に焦点を当てるワシントンのグローバル・アフェアーズ系シンクタンク、アトランティック・カウンシルによって実施された。同団体は現在の出来事を分析し、特定の法律や規制、軍事的な動きが2035年の世界をどのように形作るかを予測した。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)