■ ロンドン地下鉄を象徴するアナウンス「Mind the Gap(隙間に注意)」。大音量の警告にもかかわらず昨年、数百人の乗客がプラットフォームと電車の間に落下する事故が起きている。メトロ紙(電子版)が伝えた。

プラットフォームが湾曲しているため、電車とプラットフォームの間に無視できないほどの隙間(gap)が出来ることが多いロンドンの地下鉄駅。昨年だけで522人の乗客が、「乗客車両接触事故(PTI:passenger train interface)」で負傷した。2023年には合計1893件のPTI事故が発生し、過去5年間で6人が転落死していることが、ロンドン交通局(TfL)のデータから明らかになった。視覚障害者であるブランケット卿は昨年、ガイド犬と共に地下鉄を利用した際、転倒して負傷。「まるで死の罠だ」とプラットフォームの危険性を厳しく批判した。
ロンドン地下鉄で最もギャップが大きく危険な5駅は次の通り。
【ワースト1位 バンク駅(Bank)】
セントラル・ライン東行きプラットフォームの西端:約37センチ/西行きプラットフォーム全体:約30センチ
【ワースト2位 ピカデリー・サーカス駅(Piccadilly Circus)】
ベーカールーライン南行きプラットフォーム北端:35センチ/北行きプラットフォーム北端&南行きプラットフォーム南端:約32センチ
【ワースト3位 ウォータールー駅(Waterloo)】
ベーカールーライン南行きプラットフォーム北端&南行きプラットフォーム南端:約25センチ
【ワースト4位 マンション・ハウス駅(Mansion House)】
ディストリクトライン東行き西端:約25センチ
【ワースト5位 パディントン駅(Paddington)】
ベーカールーライン北行きプラットフォーム北端:約22.5センチ
ロンドン交通局は、2041年までに「死亡・重傷事故ゼロ」を目標に掲げ、プラットフォームの安全性向上に向けた新技術の導入を検討中という。ただし、これには「財政的な課題」も伴うと述べている。地下鉄も人間関係も、隙間には注意が必要だ。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)