■オックスフォード・ストリート西側、パーク・ハウス(Park House)に入居する主要な人気チェーン店が、買い物客の減少を理由に続々と撤退を計画しているという。「メトロ」紙(電子版)が伝えた。

パーク・ハウスに店舗を構えるパンドラ、スワロフスキー、アーバン・アウトフィッターズ、ベルシュカ、リバー・アイランドといった人気チェーン店がリース契約の解除を試みていると言われている。パーク・ハウスはマークス&スペンサー旗艦店の向かい側、セルフリッジズの斜め向かいという好立地にもかかわらず、集客や売り上げの面で十分な成果を出せていないという。問題の背景には近年のオックスフォード・ストリートが、アメリカン・キャンディーショップやシャッターが下りたままの建物に占拠され、ショッピング通りとしての魅力が激減していることがある。長年、ウエストミンスター・カウンシル(評議会)は世界的に有名なこのショッピングストリートを再び活気づけようと画策。昨年はHMVも旗艦店をオックスフォード・ストリートに再オープンさせた。さらに新規のアメリカン・キャンディーショップ開店を防ぐため小規模事業者に対し、家賃無料のスペースが提供され、「革新的で最先端の」店舗の出店が奨励されるなどの試行錯誤が続いているがあまり効果を発揮していない。

2月1日土曜日、オックスフォード・ストリートを実際に歩いてみた。なるほど、報道にあるように入居する店舗の衰退や劣化ぶりが激しい。かつてオックスフォード・ストリートはセルフリッジズを筆頭にジョン・ルイス、デベナムズ、ハウス・オブ・フレーザーなどの大型デパートが林立する、東京の日本橋に例えられる華やかな通りだった。ところが今、デベナムズとハウス・オブ・フレーザーが看板を下ろし、マイクロソフトも撤退。ジョン・ルイスも建物の老朽化が進んで煤けかつての輝きはない。土曜の午後というのに店内もゆったり買い物が出来るほど客が遠のいている印象だ。

報道にもあるように近年は怪しげなキャンディーショップや土産物店が乱立。薬局や両替店、携帯電話やベイプ(電子タバコ)店など、ボンド・ストリートやリージェント・ストリートではおよそ見掛けない店舗も多い。特に空き店舗を埋めるため、短期で格安に賃貸契約できるキャンディーショップは税金の回避やマネーロンダリングの温床となるだけでなく、違法商品取引の巣窟になっているとも言われている。実際に昨年、いくつかのキャンディーショップに強制捜査が入り、数軒が廃業に追い込まれた。そのためシャッターが下りたままとなった店舗も散見される。
ところがロンドン市長のサディク・カーン氏はオックスフォード・ストリートを歩行者天国にする計画を進めている。現在、一般車両やバス、タクシーを迂回させるため、並行して走るモーティマー・ストリートの拡張工事が盛んだ。しかしこれほど劣化した大通りから車両を排除し、緑豊かな歩行者天国にしたところで、肝心のショッピング街自身に魅力がなければ買い物客は戻って来ず、交通の便の悪さがさらに衰退に拍車をかける恐れがある。かつての輝きを知っているだけにオックスフォード・ストリートの劣化を見るのは切ない。(編集部 K) By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)