■王立看護協会(RCN)に協会メンバー5000人から提供された情報によると、患者が病院の廊下で死亡したり、妊婦がその場しのぎの小さな側室で流産したりするなどの「コリドーケア(corridor care)」が常態化しているとして警鐘を鳴らしている。BBC(電子版)が伝えた。

人手も場所も足りず、食器棚が並ぶスペース、駐車場、バスルーム、ナースステーションまでが診察や緊急時の処置場所となっており、このような場所では酸素や心臓モニター、吸引器といった重要な機器にアクセスできず、心肺蘇生を行う時間とスペースがないため、患者を危険にさらす可能性があるという。
具体例を見ると、「廊下や個室で心停止した患者が、廊下に並んだ別の患者らが横たわる救急ストレッチャーの列に阻まれ、心肺蘇生が遅れた」「側室では妊婦の体調悪化の度合いをモニターすることも困難であるため、流産する女性もいる」「失禁しやすい認知症の患者が、廊下の自動販売機の横で着替えさせられた」「看護師と医療助手が1人ずつしかおらず、20~30人の患者が廊下に放置されたまま」など。ある看護師は「患者に与えられるべき尊厳もケアもない。心が痛む」と話し、別の看護師は「NHSで働くのが恥ずかしい。30年のキャリアの中で、このようなことが当たり前になるとは想像もできなかった」と、嘆いている。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)