■ ロンドン最古の肉と魚の市場が、2028年をもって恒久的に閉鎖される見通しとなった。英各メディアが報じた。カナリー・ワーフにある日本人にも人気のビリングズゲート魚市場と、セントポール大聖堂近くのスミスフィールド肉市場は、ロンドン市自治体(City of London Corporation)が支援を打ち切る決定を下したことを受け、閉鎖される見通しとなった。ロンドン市自治体は、各業者が新たな営業拠点を見つけられるよう支援を行うと話している。
スミスフィールド市場は、英国最大の卸売肉市場でヨーロッパでも最大規模。現在の市場は1860年代からこの地で営業を続けているが、それ以前は中世にまで遡る家畜市場として運営されていた。スミスフィールドは、かつて処刑場だったことでも広く知られる。スミスフィールド市場は閉鎖後、博物館を含む文化と商業の施設として、再開発プロジェクトが進行中という。
一方、ビリングズゲート市場は英国最大の内陸魚市場であり、毎年平均2万5000トンの魚介や加工品が取引されている。元々は1327年にシティ、ロンドンブリッジ近くの河岸で営業を開始。1982年に現在の場所に移転した。同市場は、フィッシュモンガー(魚屋)やレストラン、フィッシュ&チップス店などに海の幸を供給している。ビリングズゲート跡地には、数千戸の住宅が建てられる予定。
過去70年、ビリングズゲートで魚を販売してきたという匿名の業者は、BBCの取材に「補償金を受け入れるか、手ぶらで立ち去るかの選択を迫られた。補償金は別の場所で営業を再開するには少なすぎる。与えられた条件で最善を尽くすよう言われたが、全く満足できるものではなかった」と憤る。続けて「ロンドンに魚市場がなくなるということは、市民が地元の魚屋を利用するしかないことを意味する。世界の終わりではないが、魚屋はどこから魚を仕入れるのだろうか。ロンドンから魚の供給業者が消える」と話した。別の業者は「真空パックの魚ばかりになる時代になりつつある」と嘆いた。ロンドンの寿司はどうなるのだろう。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)