■大切な人やモノを見つけるため、エアタグ(AirTag)利用者が増えている。しかし専門家は「使い方によってはプライバシーの侵害」にあたる可能性があると警告している。「デイリー・メール」紙(電子版)が報じた。
エアタグはもともとは大切な物を失くさないように作られたアップル社が発売するデバイス。ところが最近は子どもや認知症の高齢者、さらには浮気性なパートナーを追跡するための道具として使う人が増えている。今では多くの人がSNSで体験を共有。ある母親は「お祭りや空港のような人が多い場所ではこれがあれば少し安心できる」と投稿。子どもの足首にエアタグをつけているという別の母親は「ディズニーランドのような場所に行くときの不安を軽減してくれる」と話す。
一方、夫やボーイフレンドの居場所を知るためにエアタグを使っているという人もいる。夫の靴にエアタグを縫い付けたり、ボーイフレンドの鞄の中にこっそり隠したりしているという。ある女性は「バーで何が起こるかわからないから夫のスニーカーにエアタグを隠した」と告白。「男性を追跡する方法」の動画がSNSで紹介されている=写真。ただ、カウンセラーのジョージナ・スターマー氏は「テクノロジーやソーシャルメディアの普及に伴い他の人を追跡したり、自分が追跡されたりすることに慣れてきた。これにより我々はより安全で安心だと感じることができる。夕食を作る時間がわかるなど、実用的な利点もある。しかしこのテクノロジーが知らないうちに使われたり、プライバシーを侵害するために使われたりするとなると話は別だ。これは疑惑、支配、そして自由の喪失という感覚につながることがある」と話す。
マイク・シュミット弁護士は「パートナーの了解なしにエアタグで追跡することはプライバシーの侵害と見なされる可能性がある。追跡される全ての人は追跡について事前に知らされ、同意する必要がある」と指摘する。加えて、「同意を得られなかった場合、ストーカー行為や嫌がらせの疑いをかけられ、法的問題に発展する可能性もある」と警告する。また、子育ての専門家チオマ・ファナウォポさんは「ティーンエイジャーは自立したい、プライバシーを保ちたいと感じている。親が追跡すると息苦しく感じる。追跡されると、信じてもらえていないと感じ、それが関係を悪化させ反抗心につながることもある」と注意喚起する。ファナウォポさんは16歳くらいになったら追跡を止めるよう勧めている。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)