ある英国人夫婦の決断…スイスでのダブル安楽死 その2

■サフォーク県メリス村在住のピーターさんと、初期の血管性認知症と診断された妻クリスティーンさんは共に死ぬ道を選択した。2人はスイスで「The Last Resort(最後の方法)」という未検証の安楽死を提供する団体に登録する予定だ。「メール・オン・サンデー」紙(電子版)が伝えた。

35年前のピーターさんとクリスティーンさん。

同団体の提供する未検証の方法は大変な物議を醸しており、スイスの一部地域では禁止されている。オーストラリア生まれで「ドクター・デス」の異名を持つフィリップ・ニチシュケ博士が開発した「サルコ」は酸素を急速に窒素に置き換えることで、10分以内に機能するよう設計されている。

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ニチシュケ氏が運営する「Exit International」のウェブサイトは「平穏で、時に陶酔感のある死」と説明されている。しかし今年米国で死刑囚に対してはじめて窒素を使用した処刑が行われたが、目撃者によるとその死は平穏とは程遠かったという。ジェフ・フッド牧師は「今まで見た中で最悪の出来事で、死まで22分かかった」と非難した。批評家たちはサルコを「美化されたガス室」と呼び、マサチューセッツ工科大学(MIT)は故障した場合は痛みを伴う死を引き起こす可能性があると指摘している。安楽死支援団体「ディグニタス」や「ライフサークル」もサルコを敬遠しているという。今年7月、スイスのシャフハウゼン県検察は、サルコを使っての安楽死を支援した者に対し最大5年の懲役を科すと警告した。

3Dプリンターで製造されたカプセルは検視用にカメラが内蔵されており、2人用カプセルも準備が整っているという。ニチシュケ博士は「2人用のカプセルは1人用サルコと全く同じ仕組みだ。ボタンは1つだけ。どちらがボタンを押すか2人が決める。そしてお互いを抱きしめながらどちらかがそのボタンを押すことになる」と語った。

現在のピーターさんとクリスティーンさん。Courtesy: Mail on Sundaty

6人の孫がいるスコットさんとクリスティーンさん夫妻はすでに最期の日々の計画を立てている。クリスティーンさんは「スイスアルプスの川沿いでピーターと一緒に散歩したい。最後の晩餐には美味しい魚料理と素晴らしいメルローを楽しみたい。『Wild Cat Blues』やクリフ・リチャードの『The Young Ones』を含んだプレイリストを作ります。それに『Miss Me But Let Me Go(悲しんで。でも行かせて)』という詩を見つけたんだけど、それが私の気持ちをぴったり表しているんです」と語った。

ジャズクラブで出会って結婚したというスコット夫妻の子どもたちは両親に施設に入るよう勧めていたが、最後は2人の意志を尊重することに同意したという。クリスティーンさんは「素晴らしい人生でしたが、この病が私たちの考えをはっきりさせました。薬は血管性認知症の進行を遅らせることはできても止めることはできません。自分を見失ったと感じた時『これで終わりよ、ピーター。もうこの先には行きたくない』と言うでしょう」と語った。スコットさんは最後に「私は彼女に『君が決めて。僕は一緒にいる』と言った。死ぬことは何の問題もない。僕はただ彼女を強く抱きしめて『また後でね』と言うだけだ」と静かに語った。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)


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