アルツハイマーの進行を遅らせる薬「レカネマブ」、NHSは採用せず

■初期段階のアルツハイマー病の進行を遅らせるエーザイと米バイオジェンが開発に成功した治療薬「レカネマブ（レケンビ）」は「高価な割に利益が小さい」としてNHSでは採用が見送られる方向と言う。BBC（電子版）が報じた。

レカネマブは医薬品規制当局MHRAによって英国での使用が既に承認されている。そのためNHSが認めなくてもプライベートな医療機関では処方可能。レカネマブは18ヵ月の間に初期段階のアルツハイマー患者の認知機能の衰えを約4分の1遅らせることが示されている。

しかし、英健康評価機関NICEによると副作用に関する監視や2週間ごとの病院への通院などで治療には莫大な費用がかかるとされている。英国アルツハイマー研究機関の政策責任者デビッド・トーマス氏は「レカネマブの承認は画期的だが、NICEがNHSでの使用を承認しなかったことはほろ苦い」と評した。イングランドでは約７万人の成人がレカネマブ治療の対象になると言われている。英国での薬の価格は公表されていないが、アメリカでは年間約２万ポンド（約400万円）が必要と言われている。NICEの最終決定は意見募集を経て年末になされる予定。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)