■ 膨満感や食事中すぐに満腹になるなどの症状を深刻に受け止めれば、卵巣がんを早期に発見でき、退治できる可能性があると専門家は言う。「デイリー・メール」紙(電子版)が伝えた。
英国では毎年約7500人の女性が卵巣がん(ovarian cancer)に罹患。そのうち、10年後の生存率は3分の1と言われている。治療法はあるが、初期症状に気づきづらいこともあり、手遅れになることも多い。科学者たちは、診断が下される3年も前から膨満感や食事中の満腹感といった症状が現れる可能性を指摘。そのような違和感があった場合は、すぐに検査を受けるべきと話している。英国では卵巣がん検診はないが、「症状トリガー検査(symptom triggered testing)」と呼ばれる検査があり、潜在的な症状がある人を血液検査と超音波検査で迅速に見つけるよう設計されている。しかし、多くのGP(地元のかかりつけ医)は「卵巣がんの症状は進行した段階でしか現れない」という印象を持っているという。
「ファストトラック制度(fast-track pathway)」の患者1741人を対象とした研究では、膨満感や食事中の満腹感といった症状をきっかけとした検査の有効性が示された。これらの患者のうち119人が、高異型度漿液性(しょうえきせい)卵巣がんと診断された。このグループの約25.2%は、卵巣がんが広範囲に拡大したり転移したりする前のステージ1または2で発見され、そのうち93%が診断後5年以上生存している。しかし、病気が進行した状態で診断された場合、生存率は13%に低下していた。約3分の2の女性(119人中78人)は手術でがんを取り除くことができたが、36人は手術以前に化学療法を受けた。この研究結果は「国際婦人科がんジャーナル誌」に掲載された。
著者の一人、汎バーミンガム婦人科がんセンターのスダ・スンダール教授は「病気の症状がみられる女性を、迅速に検査に回すことの利点を示す結果が得られた。医療界では、こうした症状を示す女性はおそらく進行がんである可能性が高いという考えから、この方法の有用性について懐疑的だった。今回我々の研究が示したのは、早期でも十分、発見可能ということだ」と述べた。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)