
■戴冠式を翌日に控えた5日午前、国際運転免許証をゲットするため近所の郵便局に向かった。カウンターで「国際運転免許証を申請したい」と申し出ると職員の女性が「どの国に行くの?」。「日本」と答えると女性は私の顔をまじまじ見て曰く「ねぇ、日本で一体何が起こっているの?」。その日、日本の石川県で震度6の地震があり、英国のメディアでも大きく扱われていた。てっきりそのことかと思った。しかし女性は筆者の返事を待つまでもなく「昨日からスゴイ数の人が国際運転免許証の申請に来ているんだけど、全員日本行きなのよ。全員よ! 一体日本で何が起きているの?」。地震じゃなかった。
「ああ、もうすぐコロナの位置づけが引き下げられて行動制限がなくなるんです。そのせいではないでしょうか。あと、円も安いし」と言うと女性は大きな目をさらに大きく見開いて「コロナ? 行動制限? コロナってあのコロナ? この国じゃとっくにコロナは昔話よ」
「そんなこと言われても」と、困惑の表情を浮かべる筆者をよそに女性はガッと椅子を鳴らして立ち上がり、郵便局中に響き渡るような大声で「日本がコロナの規制を撤廃するんですってよ」と叫んだ。すると同僚たちが一斉に「ええ~!?コロナ? 今まで規制してたの? マジ?」「だから昨日、あんなに日本行きの国際運転免許証の申請があったのか」。後ろに並んでいる客らも一様に驚いた表情。なんか欧米列強に鎖国を責められている幕府小役人のような切ない気分になってきた。日本でコロナ規制が長引いた理由を聞かれたら何て答えよう。こっちが知りたいくらいだ。国際運転免許証が欲しくて来ただけなのに、なんでこんなに追い詰められるの?
パンデミックの1年目、日本は感染による死者数が欧米より少なく、当初は「BCGを打っているから」「毎日熱い風呂に入っているから」「きれい好きだから」とかいった根拠のないエッヘン話が飛び交っていた。
3年経った今、英国ではマスク着用義務やソーシャル・ディスタンシングはすっかり過去の話。日本は完全に取り残された。そんな日本もこの8日、コロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザ並みの「5類」に引き下げられ、医療機関や介護施設など一部を除いて行動制限がなくなった。日本には日本の事情がある。信頼する日本国政府の決定にケチをつけるつもりは毛頭ない。しかしもしかしたらアツアツおでんに懲りて雪見大福を延々とフーフーしていたんじゃないの? あっ、結局ケチつけちゃった。
もうほとんど誰もコロナの話をしなくなった英国。夏季オリンピックをやり遂げた日本が、あれから2年も経った今の今まで行動制限を続けていたという事実は英国の人にとても奇異に響いたらしい。こっちはこっちで、そんなに大勢の英国人が日本を目指していることを知って驚いたけど。いずれにしても朝から郵便局に春風と共に新鮮なニュースを持ち込んでやったぜ、とミステリーの謎解きをした名探偵のような気分を味わいながら郵便局を後にした。その後、郵便局内でどんな会話が交わされたのか、幸い名探偵の耳に届くことはなかった。(編集部T)By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)








































![私のイチオシ[スーパー編]](/images/common/category/ichioshi-img_sq.gif)








セール情報をいち早くGET!今週のお買得★食料品『TKトレーディング』