ガソリン枯渇！ パニック買い多発…事態は深刻

シェルやエクソンモービルなどの石油各社は「ガソリンは十分にある」と強調している。ジョージ・ユースティス環境大臣も「ガソリンが不足するというメディアの報道に人々が敏感に反応し、補充する段階にない人までスタンドに駆け込むパニック買いが起きた。ガソリンは不足していない」と話した。しかし、現実問題として多くのスタンドでガソリンが底をついた。９月27日の時点で石油小売り協会（PRA）に加盟する5500のスタンドのうち、３分の２でガソリンが枯渇している。

そもそもの発端は、HGV（heavy goods vehicle：重量物運搬車輛）の運転手不足にある。英国がEUを離脱したため、EU出身運転手の多くが母国に帰ったり、通関手続きが煩雑になったことを嫌って他国に職を求めて英国を離れたりした。さらに、新型コロナによるパンデミックのために多くの運転手が帰国したままになっている。現在、英国では約10万人のHGV運転手が不足していると言われ、ガソリンだけでなく、スーパーやファストフードチェーンのサプライチェーンにも影響が出ている。

英政府は、石油会社間の競争法の一時停止を検討している。実現すれば石油各社はガソリン供給量の情報を共有でき、どこが最もガソリンを必要としているかといった優先順位付けが可能になる。さらに、政府は状況改善のために軍の出動を準備していると発表。最大で150人の軍車輛運転手とサポート隊員が最長５日間の訓練を受けて出動する可能性がある。

By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)