■とある冬の⽇、ぽんっとスマホにメッセージが届いた。新型コロナワクチン接種予約のご案内。リンクを辿ると⽇程は 数⽇後、時間枠も限られていた。みるみる予約枠が埋まっていく。慌てて予約すると、予約完了メッセージが届いた。簡単。NHSの従来の(⼀⽅的に⽇時指定された予約案内が予約⽇直前に届き、都合が悪ければ繋がるまで電話して変更するという)アナログな予約⽅式を想像していた。
接種場所は屋外。当⽇、予約完了メッセージを印刷して持参した。会場には係の1⼈が列の最後尾を案内、1⼈が名前を聞いて問診票を渡し、1⼈が問診(後に判明)と、意外にしっかりしている。名前はスペルを聞かれるため印刷が役⽴った。問診票に記⼊し係に渡すと「では質問を。記⼊済み? 準備万端ね」と笑われた。どうぞと促された先にはテントが並んでいた。
ここにも案内係が1⼈。 「少し待ってね」待つ間に聞いてみた。「もう受けた?」「受けたわよ」「どうだった?」「何ともなかった。⼀瞬よ」ロックダウンで⼈と会って話す機会が少ない中、こんな会話すら貴重で懐かしい。
医師から呼ばれた。「⽣年⽉⽇ とお名前は?どちらの腕に打ちます?」「ちょっといいですか?」「はいどうぞ」「頭痛が出たら鎮痛剤を飲んでもいいですか? 接種後に⾞で待機してもいいですか?」「パラセタモールを飲んで下さい。⾞は駄⽬です。待合場所で15分待機して下さい。⼀瞬痛いです。はい終わり。この接種カードは保管して下さい。明⽇は頭痛や倦怠感が出ますが、すぐ消えます」。
接種時間が書かれたシールを⼿に貼られ待合場所で待った。15分経過。席を⽴つと意識が遠のいた。係の⼈に「少し⽬眩が」と伝えると「ビスケットでも⾷べます?」「…あ、⼤丈夫です」。10分ほど⾞で休むと⽬眩もおさまり帰路についた。待機所に⽔を持参すればよかった、コートの下にダウンベストを着ておけばよかったと思いながら。(在英9年/会社員 FT)
By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)