
■ 6万年ほど前に現生人類にインプットされたネアンデルタール人の遺伝子が、新型コロナウイルスの重症化リスクを高める可能性があることが分かった。英科学誌「ネイチャー」(電子版)に掲載された。
論文を共著で発表したスウェーデンのカロリンスカ研究所と独マックス・プランク進化人類学研究所の研究者たちが、イタリアとスペインの病院で新型コロナウイルスに感染した3199人の患者の遺伝子を調査。ネアンデルタール人の遺伝子サインを持つ人と重症者の間に、重要な関連性があることを突き止めた。
新型コロナウイルスの重症化には、ヒトゲノム染色体23本のうち、3番染色体の特定領域内に存在する遺伝子の変異が関連していることが、これまでの研究で分かっていた。この領域は、ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子サイン(genetic signature)を含んでおり、この遺伝子サインを持つ人が新型コロナウイルスに感染した場合、重症化して人工呼吸器が必要となる可能性が3倍高くなるとされる。ただし、この遺伝子サインが新型コロナウイルス感染者を重症化させるメカニズムの解明には至っていない。
ネアンデルタール人は約40万年前に現れ、4万年ほど前に絶滅したとされている化石人類。かつてホモ・サピエンスとは別種の旧人類に分類されていた。ところが、最近の研究でホモ・サピエンスがアフリカを出て世界に拡散した頃、アラビア半島で両者が出会って交配し、混血しながら世界各地に拡大していったらしいことが分かってきた。ネアンデルタール人の遺伝子を持つ割合は、ヨーロッパでは16%だが、南アジアでは50%を超え、バングラデシュでは63%だった。アフリカを出ずに、ネアンデルタール人と出会うことがなかったアフリカや日本を含む東アジアでは、保有者は極めて少ないとされる。
ネアンデルタール人は背丈はそれほど高くないが白っぽい皮膚を持ち、筋骨隆々で鼻は高く、目は窪み、瞳はブルー系で赤毛という特徴を備えていた。知能は高く、言語を操り、道具も火も使いこなした。主にマンモスやトナカイなどの大型草食動物を捕らえて食べていたとされる。
ホモ・サピエンスが集団生活をすることで知識や経験を大勢で共有して発展していったのに対し、ネアンデルタール人は行動が常に家族単位だったため、情報の共有がほとんどされなかった。そのため、環境の変化に順応できずにホモ・サピエンスとの戦いに敗れたか、はたまた共食いの果てか、いずれにしても4万年ほど前に絶滅したと言われている。
By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)
































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