■ ロンドン塔を守る衛兵のヨーマン・ウォーダー(通称ビーフィーター)が、ロックダウンにともなう同所の閉鎖により生じた赤字を補うため、600年の歴史上初めてとなる解雇の危機に直面していることが判明した。「デイリー・メール」紙(電子版)が報じた。
ビーフィーターは、1485年にヘンリー7世が創設。当時は国王とともに戦場を駆け巡り、やがてロンドン塔の監獄にいる囚人たちを監視したり、王室所有の財宝を守護したりする役目を担うようになった。現在は観光客の安全を確保することが主な仕事となっているが、ビーフィーターになるためには22年以上の軍歴と受勲経験が必須という「エリート名誉職」。今は37人のビーフィーターが、家族とともにロンドン塔の敷地内に住んでいるという。
同所には歴代君主の王冠といった貴重な宝石があり、莫大な警備・維持費がかかる。3月末からのロックダウンにより、1億ポンドもの赤字を抱えた同塔の責任者は「ビーフィーターの給与をカットするしかない」と考え、少なくとも2人が自主退職を求められているという。ちなみに、ビーフィーターの給与は年間2万4000ポンドとされる。ロンドン塔は、今月10日に一般公開を再開している。
By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)