レストラン再開を体験! ところが…残念な出来事

※写真はイメージです。

■ イングランドではロックダウン緩和が一段と進み、7月4日からパブやレストラン等の一部が厳しい制限付きで営業を再開した。7月7日火曜日夜、再開した馴染みのイタリア料理店におよそ100日ぶりに足を運んでみた。

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ロンドンの中心にあるその店はナポリ出身のオーナー夫妻が経営する席数40ほどの小さなイタリアンレストランだ。オーナーに声をかけて挨拶し、店内に案内されると、テーブル数はいつもの3分の1程度に減少ししっかりとソーシャル・ディスタンシングが保たれていた。外にも2人掛けのテーブルが4つほど並べられていたが、この日は7月というのに肌寒く、利用客はゼロだった。これでは商売にならないだろう。

ロンドンの中心にあるその店はナポリ出身のオーナー夫妻が経営する席数40ほどの小さなイタリアンレストランだ。オーナーに声をかけて挨拶し、店内に案内されると、テーブル数はいつもの3分の1程度に減少ししっかりとソーシャル・ディスタンシングが保たれていた。外にも2人掛けのテーブルが4つほど並べられていたが、この日は7月というのに肌寒く、利用客はゼロだった。これでは商売にならないだろう。

テーブルにつくとウエイトレスが「お名前とお電話番号を教えてください」という。告げると彼女はカルテのような紙にそれを書き込んだ。そして同行した同僚に「あなたも」と促した。感染者が出た時に追跡できるよう、来店者全員の連絡先を記録することが義務付けられているという。それが終わると今度は小さなプラスチック製のプレートをテーブルの上に置いた。「規則でメニューをお渡しできません。ここにあるQRコードをスマートフォンで読み取ってメニューを見てください」と言う。なるほど、一つのメニューを多くの人でシェアするのは危険ということか。

オーダーを済ませてからゆっくりと店内を見回す。かつてはしっかりとしたリネンのテーブルクロスがかけられていたが、クロスは割愛されてテーブルはむき出し。ナプキンも使い捨てできる紙製のものになっていた。何とも味気ない。約100日ぶりの外食だったが、以前とあまりにも変わってしまった店の光景に再開の喜びよりも戸惑いの方が大きい。

食事を終えてカードで支払いをしようとすると、ウエイトレスは「カードに触ってはいけない規則なので、この機械にご自分で差し込んでください」という。ちなみに現在、コンタクトレスで支払える上限が45ポンド程度に引き上げられているが、この日は2人で56ポンドだったため、ピンコードを打ち込む必要があった。

突然現れた男

久しぶりの外食で美味しいイタリアンとワインを堪能したが、残念な出来事が起こってしまった。

メインを食べている時、店内に1人の若い男が入ってきた。男は細長い店内の一番奥に行き、座っていたカップルのテーブル上にA4サイズほどの白い紙を差し出した。カップルは紙に目をやったが、やがて首を横に振った。時折、地下鉄内などで目にする光景だ。推測だが「もう何日も食べ物を口にしていません。どうかお恵みください」等が書かれていたのかもしれない。男は私が座るテーブルを通り過ぎて3メートルほど離れた年配の男女4人が座る別のテーブルに向かった。そこで同じように白い紙をテーブル上に置いた。私はその様子をボンヤリと鏡越しに見ていた。ここでも同様に首を振られた男はそのまま黙って店を出て行った。

それから10分ほどした時、突然店内が騒然となった。火事かガス漏れかと思い一瞬、緊張が走った。騒ぎの元は先ほどの年配グループの座るテーブルだった。女性の一人が叫んだ。

「スマートフォンがない」
「盗られた!」

古典回帰か

携帯電話やスマートフォンが出回り始めたころ、こういった事件には何度か遭遇した。食事中、堂々と店内に入ってきて油断している客の携帯電話を強奪して逃げて行くという極めて単純な手口だ。最近は携帯電話のセキュリティが強化されたりGPSで追跡できたりで足がつきやすく、こういう古典的な犯罪は死滅したのかと思っていたが、久しぶりにその現場の目撃者となってしまった。犯行の瞬間をボンヤリとしか見ておらず、犯人の像が全く記憶できていないことを悔やんだが後の祭りだった。

今は換気のため店は入り口ドアを全開にしておかなくてはならない。店内はいつもよりスタッフが少なく、恐らく犯人は外で様子を伺い、店主が地下に下りて不在となる瞬間を狙って入って来たのだろう。そして堂々と店内に入り、テーブル上にスマートフォンを置いている客を見つけるとそこに接近。白い紙をスマートフォンの上に重ね、そこに書かれている文章を客に読ませている隙に紙の下にあるスマートフォンを掴んで持ち去ったと思われる。

客は「厄介な物乞いが来た」と警戒するが、まさかそれが物盗りだとは思わず追い払うことに集中する。ありがちな光景を利用した巧妙かつ古典的なやり方だ。盗んだスマートフォンはさほど現金化できないだろうが、盗られた方にとってデータ満載の携帯電話を失うのは実に厄介だ。

コロナが蔓延する中、生活困窮者も急増し、今後こういった犯罪が増えてくるのかもしれない。コロナとはこれまでみな一丸となって闘ってきた。しかしこれからは残念なことだが、異なる思惑や背景を持った人たちと向き合っていかなくてはならない。

犯罪がより身近になる可能性がある。皆さん、くれぐれもご用心ください。(本紙編集部 手島)

By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)

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