■愛する人や友人、そして家族と素敵なレストランでゆったり時を過ごす―そんな人生の楽しみは、レストランが設ける『テーブル時間制』という壁に阻まれ、簡単には手に入らなくなってきた。客単価が100ポンドを超える高級レストランでも、食事を急かされる悪しき風潮に一石を投じようとするシェフの発言に注目が集まっている。「テレグラフ」紙(電子版)が報じた。
昨今ロンドンで人気のレストランでは、90分の時間制を設ける店が増えてきている。日本食を取り入れたフュージョン料理に定評のある高級レストラン「Novikov」や「Sushisamba」、ロンドンの最高層ビル「ザ・シャード」内にあり、眼前に広がる展望とモダン料理を楽しめる「Aqua Shard」などでは、どの時間帯であっても、『時間制』を設けた予約しか扱っていない。
かつてミシュラン星を獲得したレストランでオーナーシェフを務めたライアン・シンプソン氏は「レストランに行く人は、そこでたくさんのお金を落とすのだから、存分に食事と時間を楽しむ権利がある。混雑したレストランで急き立てられるように食事をし、半ば追い出されるようにして退出させられるなんて馬鹿げている。ファストフード店であればまだわかるが、高級レストランでそれをするのは間違っている。客にはもっとリラックスした空間が提供されるべきだ」と嘆く。
「旨いつまみと日本酒に舌鼓を打ちながら会話を楽しみたいから」と、シンプソン氏は時間制を設けた寿司レストランには足を運ばないという。 「そもそも、リラックスしながら食事を楽しみたいからわざわざ外食しているのに、少しでも予約した時間に遅れただけで顧客がお店に『すみません、すみません』と謝るような光景が目につくようになった。そんなに慌てる必要はないのに」と憤る。
シンプソン氏だけでなく、現在の「レストラン第一主義」に疑問を抱くシェフは少なくない。高級フレンチ店「Roux at Parliament Square」のシェフ、スティーブ・グローブス氏は「我々の店では時間制は設けていない。足を運んでくださったお客様には我々のサービスを楽しんで頂きたいと考えている」とコメントする。
ステーキ・レストランチェーン店「M Restaurant」の創設者マーティン・ウィリアムズ氏は「お客様を急かすのは『おもてなし』精神に反する。我々はお客様の立場になって考え、お客様がオンラインで予約をされる際には、自分で座席を選べるようにするなど工夫している」と語るなど、「顧客第一主義」を目指すレストランもあるが、手っ取り早く収入を上げるにはテーブルの回転率を上げるのが一番。客の満足度より収益性を選んだレストランの行きつく先は、地獄であって欲しい。
by 週刊ジャーニー(Japan Journals Ltd, London)
























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