EU離脱後、英パスポートを印刷するのは誰?巨額の受注をめぐって大バトル!

パスポートは国籍を表し、自分のアイデンティティを示す、もっとも端的な象徴といえるだろう。それだけに、パスポートへの思い入れは強くて当然。
現在、英国民が保持するパスポートはバーガンディ色(ワインレッドより暗めで茶色味の強い色)。これは、英国が「欧州経済共同体(European Economic Community)」に加盟するにあたり、パスポートの色を揃えるように求められ、1988年より導入された色であり、来年3月にEUから離脱する予定の英国が、パスポートの色を1921年に採用された濃紺=写真(ホーム・オフィス提供)=に戻すことを決めたのも、ごく自然なことと言えるだろう。パスポートが濃紺に戻ることを、各メディアとも好意的に報じたが、その印刷を誰が請け負うかを巡り、もめているという。
現在、パスポートを印刷しているのは、イングランド北部のゲイツヘッドに工場を持つ英企業「De La Rue」。
ところが、11年契約で4億9000万ポンドという大口受注を、オランダ=フランス籍の企業「Gemalto」が獲得する見込みが高まっており、「De La Rue」を筆頭に強い抗議の声があがっているという。
「Gemalto」も、英国内に工場を保有しており、受注が決まれば、英国内に新しい雇用が発生すると報じられているものの、ようやく濃紺のパスポートに戻るというのに、それを英国籍の企業が印刷しないのは「国家レベルの屈辱」だと発言する国会議員も登場。「De La Rue」も、政府を相手取って法的に闘う準備を進めているとされている。
フランスのパスポートは、国有企業が印刷を請け負っており、「De La Rue」など他国の企業に発注されることはなく、不公平であると「De La Rue」は主張。
「Gemalto」に発注されれば、今後5年で1億2000万ポンドの節約になると説明されており、メイ首相も「世界規模の自由貿易」を提唱する国家として、パスポートは自国企業が印刷すべきだという狭い考え方は支持しないと明言している。

by 週刊ジャーニー(Japan Journals Ltd, London)

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