■ロンドン市内のハイストリートでモペッド(moped=スクーターのような小型のバイク)を使った盗難や強盗が急増している。ロンドン市警の発表をBBCが伝えた。
ロンドン市警の統計によると、オックスフォード・ストリートでの犯罪増加率が最悪で、その数は2014~15年がわずか13件だったのに対し昨年は291件にまで跳ね上がったという。犯罪学の専門家はモペッドを使った犯罪は被害者がスマートフォンに熱中している一瞬のスキを突くもので、驚くほど簡単に盗られてしまうという。
また、オックスフォード・ストリートのようなショッピング・エリアの歩行者は、人が多いがゆえにかえって警戒心が弱く、格好のターゲットになりやすいと報告。さらに混雑が彼らの逃走を容易にさせているという。
リージェント・ストリートは過去2年間でモペッドを使った窃盗事件が3件から91件に増加。ボンド・ストリートも1件から14件に増加したとされる。
オックスフォード、リージェント、ボンド・ストリートは年間2億人の人出があると言われている。また、アッパー・ストリート、キングズ・ロード、マリルボーン・ハイストリートなどもモペッド窃盗団に人気の活動エリアだという。
通常彼らは1台のスクーターに2人乗りし、スマートフォンを使用中のターゲットを見つけると後方から忍び寄り、追い抜きざまに被害者の手からスマホをひったくって逃走する。
西ロンドン大学のサイモン・ハーディング准教授(犯罪学)は、「スマートフォンを使用中の人は注意力が散漫していて盗みやすい。また、使用中のスマホを盗めばアンロックする必要もなくそのまま使えるので転売しやすい」と話す。
5年ほど前まで携帯電話は電話を掛ける時以外はほとんどがポケットの中だった。しかし昨今はテキストやゲームに夢中になり、周囲で何が起こっているか気づかず、人の肩に当たりまくる「スマホゾンビ」が増加。これに従ってスマホ窃盗も急増したという。
ロンドン市警は「犯人らは被害者が不用心になる瞬間を狙っている。人は電車や地下鉄駅を出てすぐ電話を使いやすい傾向にあり、この辺りが最も狙われやすい」と警戒を呼び掛けている。
ハイストリートでの歩きスマホにはご注意を!
by 週刊ジャーニー(Japan Journals Ltd, London)