都会の片隅にある現代の闇…奴隷商人がホームレスを売買

■人身売買と言えば歴史上や途上国での出来事と思いがちだが、英国でも未だに人身がいとも簡単に売り買いされている実態が明らかになった。ロンドン市警は特にロンドンのホームレスの人たちがそのターゲットとなっていると、警鐘を鳴らしている。「イブニング・スタンダード」紙(電子版)が報じた。
街角で眠りにつくホームレスの姿はロンドンのあちこちで見受けられる。© Mani1

 ロンドン市警奴隷誘拐課の主任捜査官フィル・ブリュワー氏は、「奴隷商人らはホームレスが集まる地域で品定めをし、彼らにニセの仕事を持ち掛けて車に乗せ、どこかへ連れ去り無給あるいは薄給で働かせている」と話す。
 ゲオルゲさん(仮名 24)はロンドン中心部で物乞いをしている際に突然白い車に乗せられたという。ゲオルゲさんは元々ルーマニアで「ロンドンにいい仕事がある」と誘われて渡英し、車洗いの仕事に就いた。しかし給料は一切もらえず「やらないと殺す」と脅されたという。
 3週間後に逃亡し郵便局に助けを求めた。その後、避難所に身を寄せたが政府の援助が得られるのは45日間だけ。それ以降は避難所を出され、やむなくロンドン市内でホームレスとなった。
 物乞いをしていると、ある日2人の男が近づいてきて食べ物と現金をくれ、そのまま車に乗せられた。車で1時間ほど走ったところで降ろされると、そこに犬を連れた男がおり、ゲオルゲさんを建設現場に送ると言った。身の危険を感じたゲオルゲさんは車が停止した隙に逃亡、線路を走ってロンドンに戻ったという。
 警察もこの問題を認識しているものの、多くのホームレスは警察に通報したがらないため実態はほとんどわかっていないという。

by 週刊ジャーニー(Japan Journals Ltd, London)