■キッシュ・ロレーヌ協会会長エヴリーヌ・ミュラー=デルヴォーさんのインタビューがきっかけで、戴冠式に供されたメニューを巡って英仏間で可愛い論争が勃発した。英メディアが報じた。
戴冠式キッシュ(Coronation Quiche)が初めて公の場に姿を現したのは4月18日のこと。チャールズ国王夫妻はそら豆、エストラゴン、ほうれん草、チーズが入ったこの超地味な料理にご満悦。しかし英国で戴冠式キッシュの人気が上昇するにつれ、フランスで反発が起きたという。
ミュラー=デルヴォーさんは「戴冠式キッシュ」について質問されると「これはフランスに影響を受けたキッシュではなくセイヴォリー・タルト(savoury tart)と呼ぶべきです」と主張。また彼女は戴冠式キッシュには華やかさがないとごもっともなご指摘。
ミュラー=デルヴォーさんはタイムズ紙に「知ったときは驚きました。だってこれってフランスのとても平凡な大衆料理なんですもの。それがまさか英国君主の戴冠式で出されるなんて」。キッシュはミュラー=デルヴォーさんが言うようにフランスでは「タルト」と呼ばれ「キッシュ・ロレーヌ」はタルトの「亜種」とみなされているのだとか。
キッシュ・ロレーヌ協会の別のメンバーは「タルトと呼んだ方が英国の精神をよく表していたと思う」と話す。続けて「キッシュとタルトの混同はフランスでもよくあること。アングロサクソン人が間違えるのは仕方ないこと。それよりフランス人の思い違いの方がショックが大きい」とも語っている。
キッシュとタルトの違いを巡る論争は今もインターネットの至る所で見ることができるという。英国君主の戴冠式なんだからフランスの大衆料理出すくらいなら、いっそのことフィッシュ&チップスやソーセージ&マッシュのような英国伝統の大衆料理でも良かった?まさか、ね。By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)