2011年6月9日 No.680

 

おすすめワイン産地めぐり⑱   イタリア・トスカーナへの旅 その1

 

 

 

古くて新しいワイン産地

 

ロンドンからイタリアのトスカーナ地方を訪れるには、ピサまたはフィレンツェから入るのが良いだろう。BAなら、ピサへはヒースロー空港から、フィレンツェへはガトウィック空港からそれぞれ直行便が出ている。トスカーナ地方といえば、イタリアで最も多く生産されている赤ワイン、キャンティの郷(さと)だが、イタリアで最も高級なスーパー・タスカンと呼ばれる赤ワインの産地ボルゲリ地区、『高貴なワイン』を生むヴィーノ・ノビレ・モンテプルチャーノ地区、『ワイン愛飲家の憧れ』の地、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ地区といった有名ワイン産地も擁する。車で巡るなら、ピサからは反時計回りに、フィレンツェからは時計回りに訪れるのがお薦め。今回はピサから入った場合について説明しよう。

 

100点満点を与えられた1985年もの

 

ピサは11~13世紀にはベニスやジェノバと並ぶ一大商港として栄えた。また、ガリレオ・ガリレイの生誕地でもあり、ピサ空港はガリレオ・ガリレイ国際空港と名付けられている。ピサに着いたら、まずはピサの斜塔へ。294段の階段を登りきり町の全景を望んでみよう。そこからガリレオが羽毛と鉄球を落として物体の落下実験を行ったことで有名だ。ピサから車でSS1を75キロほど南下するとボルゲリに着く。ボルゲリ一帯はマレンマ馬の産地としてのみ知られていた地域だったが、ボルドー・ワインを愛するマリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ(侯爵)が、1940年代に、ボルドーのグラーヴ地区のように小石の多い1ヘクタールのサン・グイードSan Guidoにカベルネ種を植えたことから、「サッシカイアSassicaia」(トスカ-ナの方言で『小石が多い』という意味)の歴史が始まった。それまでイタリアでは、土着のブドウ品種を使って伝統的に造られたワインのみが評価されていたので、当初は、フランス産のブドウ品種であるカベルネ種を使って造られた、サッシカイアを認める消費者はおらず、1948年ものから1960年ものは身内の間だけで飲まれていた。しかし、毎年、残ったワインがセラーに貯蔵され、長く熟成させればさせるほど品質が向上することがわかり、1978年にロンドンで行われた品評会(11ヵ国から33本のカベルネ・ソーヴィニョンが出品された)に1972年もののサッシカイアを出品したところ見事優勝。これ以降、カリフォルニアでは、これらの革新的なイタリア・ワインを『スーパー・タスカンSuper Tuscan』と呼ぶようになった。1997年、ワインの評論家として世界的に有名なロバート・パーカーは、サッシカイアの1985年ものに、彼としては初めて100点満点をつけた(現在ハロッズにて1本2,400ポンドで購入可)。さて、このサッシカイアを生み出すこぢんまりとした建物は、砂丘に植えられた松の防風林の中にひっそりとたたずんでおり、うっかりすると見逃してしまいそうになるのでご注意を。

 

百花繚乱状態のスーパー・タスカン

 

さて、ここで、サッシカイア以外に有名なスーパー・タスカンを幾つかご紹介しよう。
■ソライアSolaia(生産者=サッシカイアのオーナーの甥にあたるピエロ・アンティノーリAntinori/ブドウ品種=75% Cabernet Sauvignon、5% Cabernet Franc、20%  Sangiovese)■ティニャネッロTignanello(生産者=ソライアと同じ/ブドウ品種=85% Sangiovese、10% Cabernet Sauvignon、5% Cabernet Franc)■オルネライアOrnellaia(生産者=サッシカイアのオーナーの甥にあたるロドリーゴ・アンティノーリが始め、今はフレスコバルディFrescobaldiがオーナー/ブドウ品種=Cabernet Sauvignon、Cabernet Franc)■マッセトMasseto(生産者=アメリカ・カリフォルニアで有名なモンダヴィMondavi/ブドウ品種=Merlot)■レディガフィRedigaffi(生産者=トゥア・リタTua Rita/ブドウ品種=Merlot)■マガーリMagari(生産者=イタリア北西部ピエモンテ州バルバレスコで有名なアンジェロ・ガイヤAngelo Gaja/ブドウ品種=Merlot、Cabernet Sauvignon、Cabernet Franc)■ルーチェLuce(生産者=フレスコバルディ/ブドウ品種=Merlot、Sangiovese)■サン・マルチーノSan Martino(生産者=ヴィッラ・カファッジョVilla Cafaggio/ブドウ品種=Sangiovese)■イル・ボスコIl Bosco(生産者=テニメンティ・ダレッサンドロTenimenti D'Alessandro/ブドウ品種=Syrah)■グラティウスGratius(生産者=イル・モリーノIl Molino/ブドウ品種=Sangiovese)
次号では、上記のオルネライアについてさらに詳しくお届けするほか、この土地の郷土料理、第1日目の宿泊にお薦めのホテルをご紹介したい。

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。
International Wine Challenge審査員。Slow Food審査員。
ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
e-mail : このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。

ロンドンおすすめレストラン
面白すぎる英国ジョーク
なるほど英国Q&A
ロンドン近郊トラベルガイド
ロンドン最新トレンド
面白すぎる英国史
面白すぎる英国の偉人
ロンドンでアフタヌーンティー