
ワインにまつわる今月のトピック:イタリア、ドイツ、オーストリアの新酒ワイン
10月30日解禁の新酒
その年のブドウを使って最も早く作られる新酒ワインといえば、11月の第3木曜日に解禁されるボージョレ・ヌーヴォーBeaujolais Nouveauが最も有名だが、今回は、それ以外のヨーロッパの新酒をご紹介したい。

10日間の醸造で造られるワイン
ヴィーノ・ノヴェッロの醸造期間は、10日以内と非常に短い。品種や製法に関する細かい規定はないものの、ボージョレ・ヌーヴォーを造るマセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬)法、またはセミ=マセラシオン・カルボニック(半炭酸ガス浸漬)法によって作られたワインを40%含むことが決められている。
●マセラシオン・カルボニック法Carbonic maceration…通常の赤やロゼワインの製法とは少し異なり、まず密閉タンクに全房のブドウを入れてタンクを炭酸ガスで満たす → 炭酸ガスによってタンク内は酸素がない状態になり、通常の発酵は行われないが、細胞内発酵(酵母による発酵とは異なるブドウ自身の細胞内で起こる発酵)によって果粒内にアルコールが1.5~2%できる → 果皮が破れ果汁が出ると、この段階で圧殺して果皮と果汁を分け、果汁のみ発酵を続けさせて造る。
●セミ=カルボニック・ マセラシオンSemi-carbonic maceration…全房のブドウを密閉タンクいっぱいに入れて、その重みでタンク底に置かれたブドウが潰れて果汁が出る → 果皮上に付着していた酵母で果汁が発酵を始めると炭酸ガスが発生し、タンク内が炭酸ガスで満たされ酸素のない状態になる → タンク中部と上部のブドウで細胞内発酵が始まり、結果、果皮が破れ果汁が出る → この段階で圧殺して果皮と果汁を分け、果汁のみを発酵させて完了させる。
これらの迅速な製法によると、ブドウから色素は抽出されるが、タンニンを最小限に抑えることができ、ワインにアロマと果実味がもたらされると同時に、フレッシュでフルーティー、軽やかでジューシーな口当たりとなる。ただし、ノヴェッロの場合には、通常の製法で造られたワインがブレンドされるため、ボージョレ・ヌーヴォーよりもしっかりとしたワインとなる。いずれにしても、これらのワインは、決して長期熟成しないので、買ったらすぐ飲むことが大切だ。
ドイツとオーストリアで楽しめる新酒

ボージョレ・ヌーヴォーやヴィーノ・ノヴェッロは赤ワインの新酒だが、ヨーロッパには、白ワインの有名な新酒もある。例えば、11月1日解禁のドイツのデア・ノイエDer Neueと11月11日解禁のオーストリアのホイリゲHeuriger(ワイン農家が自家製の新酒やワインをその場で提供するワイン酒場のことも指す)が広く知られている。ホイリゲは、当時の皇帝ヨーゼフ2世が、農家が自家製ワインを直接販売することを許可した1784年に始まった。今では、ワイン農家が軒先(入口)にモミや松などの小枝の束を吊して(これが「営業中」の印)、シンプルな家庭料理を新酒やワインとともに提供している=写真。ホイリゲは2019年にはオーストリアの無形文化遺産に登録されている。代表的なワインとしては、ゲミシュター・サッツGemischter Satz(ブドウ畑に複数の品種を混植し、同時に収穫してそのまま一緒に醸造する)やグリューナー・ヴェルトリーナーGrüner Veltlinerなどが親しまれている。よく知られるホイリゲ(ワイン酒場)街はいくつかあり、ウィーン市内中心部から公共交通機関を使って簡単にアクセスできる。ひと足先に今年のブドウのワインを味わいたい方はホイリゲ巡りの計画をたてるのもお薦めだ。
週刊ジャーニー No.1465(2026年10月8日)掲載











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