2012年8月9日

 

おすすめワイン産地めぐり⑳  英国産スパークリング・ワイン その4  

 

ブドウ栽培が特に盛んなイングランド南東部

イングランドには400ものブドウ畑があり、ほとんどの州で何かしら、ブドウが生産されているが、中でもウェスト・サセックスWest Sussex、ケントKent、サリーSurrey、エセックスEssex、ハンプシャーHampshire、そしてデヴォンDevonの各州にことさら集まっている。また、栽培面積はきわめて小さいながらもウェールズ、さらにはチャネル・アイランドにもブドウ畑が見られる。スパークリング・ワインの生産者として規模の大きいものには、先月号で紹介したナイティンバーNyetimberに加え、リッジヴューRidgeview、そしてチャペル・ダウンChapel Downが挙げられる。リッジヴューとナイティンバーはウェスト・サセックスに、チャペル・ダウンはケントに位置する。

 

英王室が大々的にサポート

チャペル・ダウン(www.chapeldown. com)は1977年に創業した、英国(正確にはイングランド)のルネサンス・ワインの草分け的ワイナリーだ。現在はケントのテンタデンTenterdenに約30ヘクタール、そして同じくケントのエイルズフォードAylesfordに約70ヘクタールのブドウ畑を持つ一方、ケントの他のブドウ畑やエセックス、サセックスからもブドウを買い付け、テンタデンで年間約100万本のワインを生産している。イングランドでは、スパークリング・ワインを造り始めたのはどこよりも早い。代表的なワインには、シャンパーニュと同様のシャルドネ、ピノ・ノワールそしてピノ・ムニエの3品種をブレンドしたスリー・グレイスThree Graces、ピノ・ノワールとシャルドネ種から造るピノ・ノワール・シャルドネPinot Noir Chardonnay、そしてピノ・ノワール種を使ったロゼ・ブリュットRos・Brutなどがある。「ウェイトローズ」ではNV リザーブNV Reserve(£18.99)が、「テスコ」ではクラシック・キュヴェClassic Cuve・2008(£21.99)が入手できる。なお、ロゼ・ブリュットは、国際的なワイン・コンペティションで金賞を獲得したほか、昨年のウィリアム王子とキャサリン妃の結婚披露宴でも供されたことで知られている。 これはほんの一例で、近年注目を浴びるようになった英国のスパークリング・ワインを、英国王室は積極的にサポートしている。エリザベス女王の即位60周年を祝い、6月3日(日)に行われたテムズ川での水上パレードで、英王室専用船の中で供されたのはナイティンバー・クラシック・キュヴェNyetimber Classic Cuve・2007、6月5日(火)のダイヤモンド・ジュビリー・レセプションとしてウェストミンスター・ホールで催された午餐会で供されたのはリッジヴュー・イングリッシュ・スパークリング・ワインRidgeview English Sparkling Wineだった。さらに、去年7月、英国ブドウ栽培者協会の会長に、チャールズ皇太子の妻であるカミラ・コーンウォール公夫人が就任している。

 

コーンウォールで健闘する大賞獲得王

カミラ夫人がコーンウォール公夫人であることは、さきほど述べたとおりながら、その「お膝元」にも、大賞を数多く獲得している実力派ワイナリーがある。キャメル・ヴァレーCamel Valley(www.camelvalley.com)だ。100ヘクタール以上ものブドウ畑を持つ前述の3ワイナリーとは異なり、7ヘクタールと規模は小さい。しかし、ここでもすばらしいスパークリング・ワインが造られている。このワイナリーのウェブサイトからもわかるように、幾つもの国際的な賞を受賞しているが、特にイタリアのベローナで開催されたボリチーニ・デル・モンド大会において、13ヵ国から出品された(有名シャンパーニュを含む)200本のロゼ・スパークリング・ワインからキャメル・ヴァレー・ピノ・ノワール・ブリュットCamel Valley Pinot Noir Brut 2008が最優秀ロゼ・スパークリング・ワインに選ばれ、大いに注目を浴びた。このワイナリーには、「オールド」と「ニュー」の2つのブドウ畑があり、「ニュー」の畑は近くで有名レストランを経営するセレブ・シェフ、リック・スタインRick Steinがオープニングに列席した。ロゼ・スパークリングのほか、大賞を受賞した白のスパークリング・ワインも幾つかあるが、非常に珍しいワインが今年紹介された。それは、Camel Valley Red Sparkling 2010、つまり赤のスパークリング・ワインだ。「What fun!」といわずにはいられない。この夏に是非試していただきたい1本だ。

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。

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