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| 2012年5月10日 | |
おすすめワイン産地めぐり⑳ 英国産スパークリング・ワイン その1
シャンパーニュに次ぐレベルが期待される英国産
世界で最も人気の高いワイン評論家、ジャンシス・ロビンソンJancis Robinsonによると、世界のワイン産地でシャンパーニュに最も近いスパークリング・ワインを造れるのは英国だという。それを裏付けるように、近年、各地のワイン・コンペティションで世界中のスパークリング・ワインを退けて賞に輝く英国産スパークリング・ワインが目立つようになってきた。
英国産の1割がスパークリング・ワイン
「英国産」といっても、産地はイングランドとウェールズに限られている。現在、商業ベースのブドウ畑が約400、面積にすると計約810ヘクタールあり、そのうち10%でスパークリング・ワインが生産されている。
世界で最も有名かつ上質なスパークリング・ワインの産地といえばフランスのシャンパーニュだが、そこではピノ・ノワールPinot Noir種、ピノ・ムニエPinot Meunier種、そしてシャルドネChardonnay種の3つのブドウ品種が使われている。一方、イングランドとウェールズでは、この3品種の他にハイブリッド(アメリカ種とユーラシア種を交配させて作った品種)のセイヴァル・ブランSeyval Blanc種、ミュラー・トゥルガウM・ler Thurgau種、バフースBacchus種といったドイツの品種を使ってスパークリング・ワインを造っているところもある。
近年のピノ・ノワール種とシャルドネ種の栽培量の増加は著しく、1990年と2007年を比較すると、それぞれ279.50%アップ、501.2%アップといった具合だ。地球温暖化が騒がれるようになった頃から、冷涼気候に分類されるイングランドとウェールズでのブドウ栽培が注目されるようになり、英スーパー・マーケットの大手ウェイトローズがハンプシャーHampshireの10エーカー(約4ヘクタール)の自社畑にシャンパーニュと同じブドウ品種を植えたのが2008年。2014年には、そのスパークリング・ワインが期待と共にリリースされる予定で、醸造するのは英大手のスパークリング・ワインの生産会社「Ridgeview」に決まったと伝えられている。
ローマ人も断念した? 英国でのワイン造り
さて、ここで、英国におけるブドウ栽培&ワイン造りの歴史を見てみることにしよう。
フランスやイタリア、そしてドイツといった国々に最初にブドウ栽培やワイン造りを紹介したのは古代ローマ人と言われているが、イングランドとウェールズの場合はどうも意見が分かれるようだ。1955 年にリンカンシャーLincolnshireのグリムズビーGrimsby村から少し南に下がったノース・ソレスビーNorth Thoresbyという村で「Roman Vineyard(古代ローマ時代のブドウ畑の跡)」が見つかったというニュースがあった。しかし、その後の詳しい調査の結果、そこでワインを造っていたという確証は得られず、またそこはブドウ畑だったかもしれないが、もしそうだったとしても、おそらく試験的な栽培が行われただけで結局は不成功だったに違いない―という結論に落ち着いた。
その後、ノーサンプトンシャーNorthamptonshireのウェリングバラWellingboroughの近くにあるウォラストンWollaston村でも似たようなブドウ畑の跡が発見された。その周辺地域でも同じくテラス状に植えられていたと思われるブドウの畑の跡が複数見つかり、土壌の中にはブドウの花粉も多く含まれていたという。ただ、それらの場所で圧搾機と思われる器具の一部は見つかったものの、圧搾後に残るはずのブドウの種などといった『証拠』はなく、ワインが造られていたという証明にはならなかった。結局、古代ローマ人が300年以上統治した英国において、ブドウの栽培を試みた人々はいたかもしれないが、それが成功し、規模が拡大された、といったことは起こらなかったようだ。
次号では古代ローマ時代以降の英国でのブドウ栽培&ワイン造りについて、その歴史をひも解いてみよう。












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