2012年1月12日

 

おすすめワイン産地めぐり⑳ 番外編:シャンパーニュをより楽しむために

 

 

静かに冷やしてから開栓

新年にあたり、シャンパーニュを味わう機会も多いことだろう。そこで、今回は「番外編」として、シャンパーニュを楽しむ際のヒントをいくつかご紹介したい。
フランスのシャンパーニュ地方で生産される発泡性ワイン(スパークリング・ワイン)であるシャンパーニュ(他の地域で造られたものは「シャンパーニュ」とは名乗れない)は、発泡性が強く、ボトル内の空圧は、2階建てバスのタイヤ内と同じ6気圧にものぼる。シャンパーニュのキリっとしまった酸味と甘みのバランスを堪能するために、また、開栓時の『事故』を防ぐためにも必ず静かに冷やしてから飲む。「静かに」とは、間違っても今走って買ってきたばかりのシャンパーニュを、たとえそれが冷えていたとしてもすぐに開けないということだ。もし、そのような状態で開けた場合には、フォーミュラ・ワンの表彰式でおなじみの、互いにシャンパーニュをかけあう「シャンパーニュ・ファイト」さながらの結果となってしまうので要注意。
飲み頃の温度は約8度だが、シャンパーニュはグラスに注いだだけで温度が数度上がるので、冷蔵庫内ではもう少し冷たくしておこう。少なくとも4時間ほど前には冷蔵庫に入れておきたいところだが、間に合わない場合にはバケツ型ワイン・クーラー(大きいほどよい)に水3分の1と氷3分の1を入れ、さらに温度を下げるために塩を少々加えてシャンパーニュのボトルが肩まで浸るようにする。

 

コルクではなく回すのはボトル

シャンパーニュは飲む時になって、ゲストたちの前で開栓するのがお薦め。開栓の音は、その場をより華やかにしてくれることだろう。さて、この開け方について、順を追って説明したい。①シャンパーニュのボトルの首部分に巻かれているホイルを剥ぐと、普通のワインとは異なり、マッシュルーム型コルクの頭の部分を抑える飾り冠(ミュズレmuselet)と針金が現れる。②握力に自信のある人は、念のためにコルクが飛び出さないように利き手で押さえながら針金とミュズレをはずし、そのままコルクをしっかりと握る。③ボトルの口を人のいないほうに向け、利き手とは違う方の手の平をボトルの底に当てて握る。④コルクがはずれるまで、利き手とは違う方の手でボトルを回す。
握力が弱い人は、針金やミュズレをはずさずに開栓したほうが簡単。その場合、①針金の下の部分、つまりねじって止めてある部分のねじれだけをゆるめ、ボトルが取りはずしやすいようにその部分を広げる。②針金がかかったままのコルクを針金およびミュズレといっしょに利き手でしっかり握る。この後は、前述の③④と同じ。針金をはずした後のすべすべのコルクを握るより、コルクの中に食い込んでいる針金と一緒にコルクを握る方が滑りにくい。それでもコルクがはずれない時は、針金とミュズレをはずし、シャンパーニュ用のコルク・オープナー=左図=を利用しよう。

 

クープ型からフルート型へ

いよいよシャンパーニュを注ぐわけだが、家庭で飲む場合、ボトルの持ち方に決まりはない。一番『安全』と思う方法で持てば良い。
注ぎ始めるとその発泡性のためにグラスがすぐにいっぱいになる。そこで一度、ボトルを起こして注ぐのをやめ、泡が落ち着くのを待ってまた注ぐこと。グラスの5~7割ほど満たせばOK。さて、このグラスだが、100年ほど前には、マリー・アントワネットの胸を形どったクープ型(積み上げたグラスに、上から順々にシャンパーニュを満たしていく「シャンパーニュ・ピラミッド」で使われる)の人気が高かったが、これでは、パーティーなどで人にぶつかった時にこぼしやすいうえ、飲みづらい。また、グラスが浅いために上昇する気泡が楽しめない、シャンパーニュが空気と触れている面積が広いために発泡性や香りが長くもたないなどの理由から、1960年ごろからフルート型が主流となっている。なお、グラスは食洗器で洗うなどして油類がついていると泡立ちが悪い。発泡は、液体中の目に見えないほどの小さな気泡がグラス内の傷や埃に集まることによって起こるため、グラスは熱湯で洗い、麻や綿のティータオルで拭くこと。シャンパーニュが残ってしまった場合には、シャンパーニュ・トッパー=下図=で止めて冷蔵庫に入れておけば、数日は品質が落ちない。
祝いの席に欠かせないシャンパーニュは、和食との相性が良いのもうれしい特長。寿司、甲殻類(貝、エビ、カニ)を使った料理をはじめ、塩味の焼き鳥、串揚げ(塩をつけて食す)、シャブシャブ、魚料理、天麩羅とどれにもよく合う。今年も美味しい食事と共に、存分にどうぞ!

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。
International Wine Challenge審査員。Slow Food審査員。
ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
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