2011年10月13日

 

おすすめワイン産地めぐり⑱   イタリア・トスカーナへの旅 その5

 

 

 

もとは白ワインだったキャンティ

 

キャンティChiantiはイタリアで最も大量に生産される赤ワインとしてお馴染みだ。その歴史は大変古く、13世紀までさかのぼることができる。ただし、1398年の資料によると、キャンティはもともと白ワインだったというから驚く。実際のところ、今でもキャンティをつくるのに白ブドウ品種を混ぜることが許されており、キャンティの品質や値段、スタイルにはボトルによってかなりの差があるのも、こうしたキャンティの歴史を反映してのことといえるだろう。

 

需要拡大の中で行われた品質保持へのチャレンジ

 

読者の中には、キャンティで失敗した経験がある方も多いのではないだろうか。キャンティは1960年代後半から世界中のイタリア料理店で飲まれるようになった。需要に追いつくために生産地域も次々に拡大され、また白ブドウ品種もかなり混ぜられるようになって品質の低下が生じてしまった。ちなみに、当時、人気のあったキャンティはフィアスコFiascoと呼ばれる藁で覆った丸いボトルに入れられており、飲んでしまった後にこのボトルをろうそく立てとして使うのが流行した。1980年、キャンティの品質低下を懸念した生産者たちの訴えにより、もともとの歴史的なキャンティ地区(259平方キロ)で造られるキャンティをキャンティ・クラッシコChianti Classico、そして、後になって拡大された地域でつくられるワインをキャンティと区別することが決められたのだった。
さらに、少し面倒なのだが、このキャンティの中でも、同一地区内で生産されたもののみで造られるワインはそれぞれ、生産地名がラベルに明記される。コッリ・アレティーニ Colli Aretini(アレッツォ地区)、コッリ・フィオレンティーニColli Fiorentini(フィレンツェの南地区)、コリーネ・ピサーネColline Pisane(ピサの東)、コッリ・セネージColli Senesi(キャンティ・クラッシコの南地区)、モンタルバーノMontalbano(クラッシコの北西地区)、 ルフィーナRufina(ルフィーナ市の北東地区)といった具合だ。一方、複数の地区のワインを混ぜてつくると単にキャンティとラベルに明記されることになる。また、これらの生産地名、あるいはキャンティと明記されるワインには、最大20%までサンジョヴェーゼSangiovese種以外の品種を混ぜてもよいことになっており、その品質やスタイルに相当の差があるのはこのため。これに対し、キャンティ・クラッシコは、ほぼサンジョヴェーゼ100%で造られており、品質は常に優れてといるといって良い。

 

黒い雄鶏は信頼の印

 

キャンティ・クラッシコ生産者の中には、高度な品質を維持するための生産者団体があり、その最も有名なものにガッロ・ネロGallo Nero(黒い雄鶏)と呼ばれる組織がある。このマークのついたキャンティ・クラッシコの品質は信頼できるので覚えておくと便利だ。黒い雄鶏の周りが図のように赤いものと、黒いものがあるが、黒いのはリゼルヴァriservaといって、熟成期間が普通のものより長いワイン。より辛口でコクがあり、重いため、こってりとした料理や熟成したハード・チーズによく合う。
さて最後に、トスカーナを訪ねる場合、お勧めしたいホテルとしてFonte de' Medici (www.fontedemedici.it)と、Il Borgo di Vescine (www.vescine.it)を挙げておこう。どちらもゆったりと寛げ、キャンティ・クラッシコとキアナ牛で夕食をとった後は、バーでヴィン・サントVin Santo(甘口のデザート・ワイン)と洒落てみてはいかがだろう。

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。
International Wine Challenge審査員。Slow Food審査員。
ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
e-mail : このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。

ロンドンおすすめレストラン
面白すぎる英国ジョーク
なるほど英国Q&A
ロンドン近郊トラベルガイド
ロンドン最新トレンド
面白すぎる英国史
面白すぎる英国の偉人
ロンドンでアフタヌーンティー