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| 2011年9月8日 No.693 | |
おすすめワイン産地めぐり⑱ イタリア・トスカーナへの旅 その4

キャンティとスーパー・タスカンだけではないトスカーナ・ワイン
今号でも引き続き、トスカーナ地方についてご紹介することにしたい。
イタリアで最も多く生産されている赤ワインといえばキャンティ。このキャンティを生むブドウ品種は、チェリーやブルーベリーの風味を呈し、酸味やタンニンがしっかりしたサンジョヴェーゼSangiovese種だが、この品種には突然変異による、プルニョーロPrugnolo種やブルネッロBrunello種といった亜種が多い。トスカーナ州は、6月9日号(トスカーナへの旅 その1)と7月14日号(その2)で書いたようにスーパー・タスカン、そしてキャンティの産地として有名であるだけでなく、プルニョーロ種から造られるヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ、そしてブルネッロ種から造られるブルネッロ・ディ・モンタルチーノという長期熟成型の偉大なワインの産地としても有名だ。
「神」か「天」か「聖ジョン」か
サンジョヴェーゼの語源には諸説ある。そのひとつと考えられている「Sansiva」とは「神のワイン」という意味。また、「Sangue di Giove」が語源であるとする説もあり、これは「天からの授かり物」を意味するとのこと。この他にも、12聖人の1人である聖ジョン(ヨハネ、イタリア語では『San Giovanni』)の名にちなんでいるのではないかとの説もある。いずれにしても、12本の偉大なワイン『十二使徒』をめぐって書かれ、日本で大評判となった漫画『神の雫』で取り上げられるのに、ぴったりの品種といえるだろう。実はこの漫画にも登場したポリツィアーノ・アジノーネ(ポリツィアーノはトップ生産者のひとり。アジノーネは、そのポリツィアーノがブドウの出来が良い年にしか造らない特別なワイン)は、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノという名称統制ワインに分類され、シエナから約60キロ内陸(南東)にある丘陵にたたずむ、モンテプルチャーノ村周辺で造られている。

モンテプルチャーノ村にあるブドウ園にて。庭からはすばらしい眺望が楽しめた。
ローマ教皇に愛されたワイン
ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノとは「モンテプルチャーノで造られる高貴なワイン」という意味のワインだけあって、中世にはローマ教皇にも納められていたという銘酒だ。この地域は砂地を含む泥土質土壌で、ここで造られるワインは濃いルビー色をしており、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノより軽く、キャンティより精妙な辛口ワインとして知られる。
モンテプルチャーノでは毎年8月最後の日曜日に、「ブラビオ・デッレ・ボッティ(『樽競争』)」と呼ばれる祭りが開催される。この祭りは、急な坂の続くモンテプルチャーノのメインストリートを、モンテプルチャーノを構成する8つの地区の代表選手が、重さ80キロの樽を転がしながら登っていくというもの。なかなか迫力あるレースで、そのレースの前には中世の衣装に身を包んだ人々の行列がねり歩く。また、その2週間ほど前からは、町の家々の軒先に地区の旗が掲げられ、期間中には祭り関連のイベントが続き、とても華やかなムードに包まれる。村の近くには、世界遺産に指定された「オルチア渓谷」もあり、夏のホリデーにもお薦めの観光地だ。
さて、トスカーナで王様のワインと言えるのがブルネッロ・ディ・モンタルチーノだろう。これはモンテプルチャーノから40キロ内陸に入った、緑深く、そびえたつような丘陵にあるモンタルチーノ村周辺で造られる。イタリアのワイン法では、ワインによって熟成期間が定められているが、このワインは規定の熟成期間が最も長い(5年)だけでなく、ワインが出荷されてからもさらに長期間熟成させて、醍醐味を楽しむ大物ワインだ。キャンティやヴィーノ・ノービレ・モンテプルチャーノに比べ、色が一層濃く、果実香味が凝縮されており、風味が複雑で、重厚な格調高いワインと覚えておいていただきたい。
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ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson |












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