英国で親しまれている絵本10選

日本の小学校で2020年度から開始される英語学習の早期化。「3年生からの必修化」「5年生からの教科化」が決まっているようですが、教科化というと、これまでは教科書なしの課外授業だったのが、これからは他教科と同じように教科書での授業が行われ成績がつけられるということ。ますます英語教育が活発になりそうですね。これに先駆け今回は、低学年の子供たちが英語に親しむきっかけになりそうな絵本をご紹介します!

英国では、低学年の英語(国語)教育として主に絵本を題材にした授業が行われています。語彙を増やすとともに、英文独特のライム(rhyme 韻)に慣れさせる目的だと思うのですが、毎晩本を読むのが宿題。子供たちは、帰りのホームルームで好きな絵本をクラスにある本棚から持ち帰ります。時には、好きな絵本の主人公の格好をして学校に行く日だとか、近くの公園や森のなかに絵本のキャラクターを探しに行く企画だとか、楽しい催し物も行われています。

「国語としての英語」と「外国語としての英語」の違いは大きいとは思いますが、英国の子供たちを夢中にさせるキャラクターたちは、その壁(?)を超えてくれることでしょう。

今回は、英国の子供たちの読書を奨励するNPO法人「BookTrust」が発表しているベスト・ブック・リストを参考に、絵本の対象年齢を0~5歳前後に絞ってピックアップしました。

The Tiger Who Came to Tea
おちゃのじかんにきたとら

The Tiger Who Came to Teaイメージ

日本語訳でも人気の作品。ひょっこり家を訪ねてきたトラは、お茶をごちそうにやって来たという童話ならではのほっこりさせるストーリー展開。女の子とトラがテーブルについてお茶をのんでいるイラストは、子供の心をわしづかみにします。

作/絵:ジュディス・カー
ドイツ・ベルリンに生まれ、ヒトラー政権下に家族で英国に移住。ナチスが台頭してくる様子を描いた『When Hitler Stole Pink Rabbit(ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ)』、第二次世界大戦時のロンドンでの生活を描いた『The Other Way Round(Bombs on Aunt Dainty)』などの作品もあります。こちらは、中・高学年向けです。


Each Peach Pear Plum
もものきなしのきプラムのき

Each Peach Pear Plumイメージ

韻を踏んだ言葉遊びと、かくれんぼが一緒になった楽しい絵本です。ページごとにシンデレラや魔法使いなど、ほかの童話のキャラクターのお尻や帽子など一部が描かれていて、「I spy (隠れているキャラクターの名前)」と読みながら、どこにかくれているのかを探し出していきます。ページをめくると探していたキャラクターが登場しますが、その同じページに新たにかくれているキャラクター(の一部)が登場し、探し出す(spy)構成です。「I spy…」という言葉でつづられるテンポのよい文章に、子供たちも自分なりの文を作り友達と謎掛け遊びを楽しんでいます。

作:アーラン・アルバーグ、 絵:ジャネット・アルバーグ
作者は英国出身のアルバーグ夫妻。ジャネットが1994年に亡くなるまでの20年間で『Peepo!』『The Baby's Catalogue(あかちゃんのカタログ)』などの幼児用の絵本をはじめ多くの作品を制作しています。


The Very Hungry Caterpillar
はらぺこあおむし

The Very Hungry Caterpillarイメージ

緑の体に赤い顔のあおむしのイラストが可愛らしい、日本でもお馴染みの絵本。あおむしが葉っぱやりんご、なしなどを食べて成長し、最後に美しい蝶になるまでを描いています。シンプルな文章で書かれているので、リズミカルに読めるようになると、まるで言葉の魔法にかかったかのように楽しくなります。この本は、62ヵ国語に翻訳され、4000万人に読まれているとのこと。多くの子供たちがカラフルで力強いイラストに魅せられ、「自分でも読んでみたい」と楽しく文字の勉強を始めるのでしょうね。

作/絵:エリック・カール
米国出身の絵本作家。「学校に行き始めた子供たちのための、家庭と学校の橋渡し的な本」を念頭に執筆活動をしているのだそう。本を通じて「学ぶことは楽しいことだよ」というメッセージが伝えられればとの思いが込められています。


The Gruffalo
もりでいちばんつよいのは?

The Gruffaloイメージ

恐ろしいキバと恐ろしい爪と歯がはえている、世にも恐ろしい怪物グラファロが主人公の英国では定番の1冊。森で1番強いはずのグラファロに対抗するのは、小さなネズミ。ネズミを食べようとしていたグラファロですが、ネズミは頓知で切り抜けます。結局、森で1番強い動物はネズミという、小さいものが大きいものに勝つというお話です。でも、架空の怪物グラファロは見た目は怖いけど、ネズミに言い負かされてしまうお人好しで、子供たちは大好き。大人も子供と一緒に楽しめます。

作: ジュリア・ドナルドソン、絵:アクセル・シェフラー
作者のふたりは、同作をはじめ続編の『The Gruffalo’s Child(グラファロのおじょうちゃん)』『Stick Man(こえだのとうさん)』など、コンビで活躍。メッセージが詰まっているユーモラスなストーリー展開とカラフルなイラストが世界中で親しまれています。


We're Going on a Bear Hunt
きょうはみんなでクマがりだ

We're Going on a Bear Huntイメージ

お父さんと子供たちと犬がくま狩りにでかけます。「くまなんて、ちっとも怖くない」と自分たちを鼓舞しながら、草原をぬけ、川を渡って進んでいきます。ところが、勇敢なはずの狩人たちも、お目当てのくまに出会ってしまうと…。後半の息が詰まるようなワクワク、ドキドキの展開に子供たちも冒険気分! この本は英国に伝わる遊び歌をモチーフにしているとされ、スラスラとリズム感よく少し感情を込めて音読できるようになると、絵本の楽しさも倍増です。

作:マイケル・ローゼン、絵: ヘレン・オクセンバリー
作者のマイケル・ローゼンは、児童文学者という肩書のほか、ラジオのプレゼンターや詩作、脚本なども手がけています。2007年には、英国で2年ごとに決定される「Children’s Laureate」に任命されました。これは英国で最も著名な児童文学者に贈られるもので、子供と本のために精力的に活動した功績を讃えたものです。ほかに、息子を亡くした悲しみから生まれた『Michael Rosen's Sad Book(悲しい本)』『Totally Wonderful Miss Plumberry(モーリーのすてきなひ)』など約140冊を執筆しています。


Where the Wild Things Are
かいじゅうたちのいるところ

Where the Wild Things Areイメージ

おおかみのきぐるみを着て家の中で暴れまわったマックスは、お母さんに「Wild thing!(怪獣)」と叱られ、罰として夕食抜きで寝室に追いやられてしまいます。その晩のこと、あら不思議、マックスの部屋は木が生い茂る森になり、目の前に海が広がりました。そして1挺のボートが現れ、マックスを怪獣たちのいる場所へと連れて行ってくれるのでした。自分のいる場所がこんな風にならないかと空想したことが現実になってしまうストーリーは、大人にも子供の頃を懐かしく思い出させてくれる内容。そして最後には「家が1番」と思わせてくれるのです。

作/絵:モーリス・センダック
米国出身。絵本のイラストレーターとしてキャリアをスタート。力強くカラフルなイラストは、ポスト印象派の絵画を観ているような美しさ(と思うのは私だけ?)。本作で1964年に、米国でその年に出版された最も優れた子供向け絵本に授与されるコールデコット賞を受賞、1970年には、米国人としては初となる国際アンデルセン賞画家賞を受賞しています。


The Cat in the Hat
キャット イン ザ ハット

The Cat in the Hatイメージ

語り手の少年と妹のサリーは、お母さんが出かけてしまった雨の日、何もすることがなく窓の外をぼんやり眺めています。そんな退屈していた2人の前に現れたのが、赤と白のストライプの帽子をかぶったへんてこりんな猫。突然現れた猫は子供たちに次々とおもしろい遊びを披露して、家の中をひっちゃかめっちゃかにして帰っていってしまいます。破天荒なキャット・イン・ザ・ハットが繰り広げる遊びに、親としては「お片付けは」とつっこみたくなる1冊ですが、言葉遊びの楽しさと自由な発想を教えてくれます。適用年齢は、5~7歳です。

作/絵:ドクター・スース
米国出身。広告やアニメの仕事をした後、絵本作家に転身。1957年に発表された本作は、ヨーロッパを始め多数の言語に翻訳され親しまれている本です。本作のキャット・イン・ザ・ハットの猫を主人公にした続編も多数出版されています。


Meg and Mog
メグとモグ - メグとモグのおはなし

Meg and Mogイメージ

呪文が下手なちょっとおとぼけの魔女メグとゆかいな仲間たちの「メグとモグ」シリーズの第1弾。心優しい魔女のメグは、飼い猫のモグと常に丁寧な口調のフクロウと一緒に暮らしています。今日のお仕事は、ハロウィーン・パーティーで呪文をかけること。ところが、仲良しの魔女たちと一緒に呪文をとなえたらうまくいかず…。1~3歳向けの短くて可愛らしい文章とシンプルで太い輪郭に深い色合いのイラストは、英国で30年以上も親しまれています。1993年には、アニメ化され、ITVで全52話(1話5分)が放映されました。日本でもDVDが販売されているようです。

作:ヘレン・ニコル、絵:ヤン・ピエンコフスキー
作者のヘレン・ニコルは、BBCでプロデューサーとして勤務。担当していた子供向け教育番組の制作を通じて、画家のヤン・ピエンコフスキーと出会い、絵本『メグとモグ』シリーズの共作が始まりました。一方、絵を担当するヤン・ピエンコフスキーは、『Haunted House』などの飛び出す絵本も手がけています。


Lost and Found
まいごのペンギン

Lost and Foundイメージ

玄関先に立っていた迷子のペンギン。かわいそうに思った男の子は、ペンギンを南極に返すことにします。「でも、どうやって?」。鳥たちに聞いたり本で調べたりして、やっとボートで南極を目指します。傘のボートに乗った男の子とペンギンのイラストはとても印象的。なぜ傘に乗っているのかは、読んでからのお楽しみ! ほのぼのとしたストーリー展開に、親子でホロッとさせられます。

作/絵:オリヴァー・ジェファーズ
イラストレーター、画家としても活躍。ナショナル・ポートレイト・ギャラリーやニューヨークのブルックリン・ミュージアムなどで個展を行っています。作品は、映像化され英国アカデミー賞児童部門アニメーション賞を受賞した本作ほか、デビュー作の『How to Catch a Star(みつけたよ、ぼくだけのほし)』、イラストを担当した『The Day The Crayons Quit(クレヨンからのおねがい!)』などがあります。


There was an old lady who swallowed a fly
ハエを飲んだおばあさん

There was an old lady who swallowed a flyイメージ

なぜかハエを飲み込んでしまったおばあさんが、ハエをとるためにクモを飲み込み、そのクモをとるために鳥を飲み込み…と続く、ちょっと怖いマザー・グースのお話が、可愛らしいイラストとともにつづられています。英米を中心とした伝承童謡を集めたマザー・グースは、6000~1万種類あると言われています。突飛で少し残酷な内容ですが、おばあさんのお腹が何かを飲み込むたびに大きくなっていくイラストに、子供たちは大喜び。ちょっとシニカルな英国人のルーツが垣間見られる1冊です。

作:マザー・グース、絵:パム・アダムス
英イラストレーターのパム・アダムズは、カラフルな色合いのイラストで子供たちに大人気。本作のほか、『Mrs Honey's Hat』や『Mrs Honey's Glasses』などのミセス・ハニー・シリーズの著作もあり、こちらは、ほのぼのしたストーリーとイマジネーションをかきたてる内容のお話です。


いかがでしたか。もっともっとお薦めしたい本がたくさんある中の10冊です。文法をあまり気にせず、音(英語の韻)とシンプルな文章、かわいらしいイラストが楽しめると思います。日本へのお土産やプレゼントにもお薦めです。(編集部 テンテン)
※情報は2018年2月22日現在。