セルフリッジズに日本の味が大集合

TASTES OF JAPAN

常に斬新なアイディアで人々を魅了する老舗百貨店「セルフリッジズ」。
流行の発信地として絶大な影響力を誇る同ロンドン店で、日本の食をテーマにした催しが始まった。

和菓子、お茶、Kawaiiなどテーマ毎に分けて、日本の商品が陳列されている。

セルフリッジズが新年最初に打ち出した企画は、日本! 昨年発表された国別ブランド指数(Country Brand Index)において、日本が1位を獲得したことや、2020年にはオリンピックの開催地に選ばれていることに着目し、今月から3ヵ月間、「Tastes of Japan」と銘打ち、日本の食を紹介する。
地下のフードホールを中心に、「ようこそ日本」と書かれた日本語の文字があちこちに掲げられ、人々の目を引く。売り場の各所で、和菓子や駄菓子のほか、パン、米、ウィスキーなど、それぞれをテーマ毎に展示・販売。「Kawaii」コーナーでは、ハローキティのドロップスやかわいいキャラクター・パッケージの駄菓子、「Miso Makers」コーナーでは、「深い旨みを備えた食材」として味噌が販売されるなど、セルフリッジズ流の視点が光る。
販売だけにとどまらず、実際に日本食を味わう企画も予定されている。日本酒を紹介する「Sake Bar」はすでに終了したが、今後、ロンドンで活躍する日本食シェフらが手がける特別ディナー(2月17日)、セルフリッジズ内に店舗を構えるラーメン店「TONKOTSU」が行うウィスキー・イベント(同23日)、フランスに自身のレストランを構え、ミシュラン1つ星を獲得している小林圭氏によるディナー(3月14日)などが予定されている。
セルフリッジズのフード&レストランのダイレクターを勤めるネイサン・ヘーマン氏は「日本は想像を絶するほど革新的で、文化的な国だ。セルフリッジズらしい仕掛けで、日本文化に対して敬意を表したい」と意気込みを語る。足を運んでみては?
  (写真/中小原和美、文/西村千秋)

 

中田英寿氏に聞く

日本文化を伝えるということ」

今回、セルフリッジズでの日本酒プロモーションのために英国を訪れた、元プロサッカー選手の中田英寿氏。現在、日本文化を世界に広める活動を精力的に行う中田氏に話を伺った。2016年1月14日発行の週刊「ジャーニー」に掲載したインタビューの拡大版をお届けする。

 




「人をつないでいく」

 

―どんなきっかけから日本文化を広めることに?
ここ7年ほど日本全国をまわってみて、「素晴らしい」と思うものがたくさんあって、また、それに対する海外からの需要があることもわかりました。ですが、海外に出していくときに、ちゃんと活動できる人って実はあんまりいないんです。そうした中で、僕は海外生活が長いですし、何かできるんじゃないかなと。

 

―特に日本酒の普及に取り組んでいらっしゃいますね。
世界中で和食屋さんが増えて、当たり前のように和食が食べられるようになりましたが、お酒の情報は遅れているんですね。そんなことから、日本酒に力を入れてやっています。広めるにあたって、僕個人のテイストもありますけど、もっとわかりやすいのって、値段とかランキングなんですよね。そんな中で、2年ほど前から「Sake Competition」というコンペにかかわっています。(日本の)お店で買えるものを対象に、酒のランキングを決めるもので、今回セルフリッジズのSake Bar(1月8日で終了)で紹介するにあたっても、トップに選ばれたものを持ってきました。「今の日本のトップはこれですよ」というとわかりやすいし、こっちでお酒を取り扱う人たちにとっても買いやすいし、売りやすい。そういう風にうまくつながっていけばと思っています。

―日本文化を伝えることの醍醐味は?
お酒の造り手や伝統芸能の担い手など、日本文化を外に伝えたい人たちがいっぱいいて、一方で、日本文化に興味を持っている海外の人たちもたくさんいます。双方に需要がすごいあるんですよね。僕はモノを作っているわけでも、売っているわけでもない。ただつなげているだけなんですけど、でも僕は人が好きなので、今の役割はすごく楽しいですね。

 

「好きなことを見つける」

 

―海外で夢を追いかける人へのアドバイスをお願いします。
僕は、夢・目標というのはあんまり持たないので、僕が夢をかなえたかといえば、そういう気もないけども…。(アドバイスをするならば)自分しかできないことを見つけることと、自分が好きなことを見つけること。そのふたつを同時にやること。みんな「それ難しいよ」って言うんですけど、難しいからやるんじゃないのって思うんですよね。好きなことを見つけるというのは難しいですよ、当然。だって、好きな人を見つけるのって難しいでしょ。

 

―確かに難しいですね。
なんで人を見つけるときにはみんな努力するのに、自分が好きなこと、やりたいことを見つけるために努力をしないのか、僕には意味がわからない。努力というのはちょっと変な言葉で、嫌いなことに対してやるのが努力だと思うんですよ。好きなことは別に努力しない。だから僕は努力というのをあんまりしたことがなくて、好きなことしかやらない。だけども、好きなことであれば誰よりも一生懸命やる。
だから、夢をかなえるということよりも、どうやって自分が楽しい生活を送るか、楽しい日々を送るか。「楽しい」を作るためには、自分を追い込まなきゃだめで、それは海外であろうと日本であろうとかわらない。行く場所によって今までの自分のやり方と違うやり方をする人たちもいっぱいいるけど、そんなことにいちいち理由をつけてたら何も進まない。この国のシステムがこうだからとか、この会社がこうだからとか、この人がこうだからと言いがちになるけど、それを前提として、まずは自分を考えることだと僕は思います。(了)

 

中田英寿(なかた・ひでとし)
2006年に29歳でプロサッカーを引退。世界各国を旅した後、2009年からは日本全国をめぐる旅「Revalue Nippon」を開始。各地で出会った日本の素晴らしい文化をもっと世界の人々に伝えようと各地で活動を続けている。