「積読」派に朗報。ショートストーリーの自動販売機、登場!

Fashion Re-Told
■ 再開発により進化を遂げ、高層ビルやショッピングモールの立ち並ぶモダンなウォーターフロントの街となったカナリーワーフ。日々、変化を続けるこの街に、ショートストーリーが出てくるユニークな自動販売機が設置されたと聞き、早速足を運んだ。

 本を読破できずについつい積み上げてしまうこと、「積読(Tsundoku)」。昨年BBCでも取り上げられ、英国人も共感できる日本語だと反響を呼んだ。そんな積読しがちな「読書家」や、英語の読解力を高めようと考えている人にぴったりなマシーンが4月に登場した。1~5分で読めるショートストーリーがプリントされて出てくる自動販売機「ショート・ストーリー・ステーション」だ。自販機といっても利用は完全無料。マシーンには数千話の小説が保存されており、ロマンス、サスペンス、ドラマ、古典、日常の一コマ、擬人化等々とジャンルも多岐に渡る。
 積読の救世主が設置されているのはカナリーワーフ・ショッピングモール内の「ジュビリープレイス」「チャーチルプレイス」そして「クロスレイルプレイス・ルーフ・ガーデン」の3ヵ所。マシーンには3つのボタンがついており、それぞれ「1分」「3分」「5分」で読み終わる小説を選ぶことができる。ボタンを押して5秒ほどすると、小説の書かれたレシートサイズの長い紙が飛び出てくる仕組みだ。どんな内容かは出てきてからのお楽しみ。
 既にフランス、香港、米国で設置され話題を呼んだこの自販機。今回満を持して英国に上陸するにあたり、ベストセラー「女王陛下の少年スパイ! アレックス」シリーズの英国人作家アンソニー・ホロヴィッツが書き下ろした1分サスペンス小説「The Death of Mr Robinson」もマシーンに投入されたという。

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ホロヴィッツの書き下ろしと古典以外の小説は、運営会社Short Editionが展開するショートストーリー専門webサイト「short-edition.com」にある1900万もの話の中から選び抜かれた作品。使用される紙やインクは、環境にも配慮したつくりなのだそう。

 いわゆる「当たり」の作品を私も読みたい! と意気込んでボタンを押すこと20回…ホロヴィッツの新作はついに出てくることはなかった。しかしその代わりに筆者は、一つも被ることなく20話分の多様なジャンルの小説を手に入れることができた。しかも、そのほとんどが「当たり」の作品。心温まる話から最後のオチにゾッとする話まで、時がたつのも忘れて読書に没頭できた。長くて難解な言い回しもあるものの、基本的には簡潔な文章で読みやすく、英語学習としてもおすすめ。どの作品も目安の時間~プラス2分程度で読み終えることができ、長くとも10分以内に読了することが可能だ。
 ショートストーリー故に話がテンポ良く進行し、読みだしたら止まらない良作揃い。ここで物語を読破しまくることができれば、それは積読を卒業できるサインかも!? ぜひ、ショート・ストーリー・ステーションで素敵な読書体験を!
(写真・文/高柳直子)

設置場所:Canary Wharf Shopping Mall内Jubilee Place, Churchill Place, Crossrail Place Roof Garden=写真上。2019年5月現在。
https://short-edition.com/en/dispensers

週刊ジャーニー No.1087(2019年5月23日)掲載