村上隆流日本美術史 Japanese Art History à la Takashi Murakami

幅12メートルにも及ぶ圧巻の「洛中洛外図屏風岩佐又兵衛 rip（2023-24）」（写真右）は、江戸時代初期の絵師、岩佐又兵衛の代表作《洛中洛外図屏風（舟木本）》（東博蔵）を基にした、村上流のリクリエーションだ。
Artwork © 2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved Photo: Prudence Cuming Associates Ltd Courtesy Gagosian

■ 高級ブランドや人気カジュアル・ブランドとのファッション・コラボレーションなどでお馴染みの日本が誇る現代アーティスト、村上隆氏のソロ・エキシビションが、ロンドン中心部のギャラリーで開催中だ。そのテーマは日本美術。日本画特有のデザイン性と迫力に、魅惑の村上エッセンスが散りばめられた唯一無二の『村上流の日本美術』を堪能してきた。

多くの人が村上隆と聞いて思いつくのは、ポップな仙人のような風貌と、これまたポップでカラフルな花のイラストではないだろうか。

ギャラリーの大きな壁を埋め尽くすほどの大作揃いの本エキシビションの作品群には、一見してポップでユニークなもの、または一見すると日本の古城や寺院に飾られていても違和感がなさそうな作品もある。かつてアニメーターを目指しながらも、東京藝術大学日本画科を卒業した村上氏。江戸時代の生き生きとした町や人々を見事に描いた屏風絵には、フラワーやポップなキャラクターが散りばめられおり、そのコントラストが楽しくて仕方がない。これぞ「日本画！」と唸ってしまいたくなる迫力の獅子の図も、よく見るとピンクや蛍光の黄色といったカラーで縁どられている。豪華絢爛、新年の雰囲気にもピッタリのエキシビションを、お見逃しなく。

また、エキシビション会場から徒歩10分程の場所にあるバーリントン・アーケード（W1J 0QJ）内の村上隆特設ショップには、５つの新作の花の絵画が展示されており、ファッション・アイテムやキャラクターグッズ、プリントや書籍が購入できる（写真）。こちらにも是非、お立ち寄りを。　　　　　　　　　　（文・ネイサン弘子）