■10代の女性が40種類ものアレルギーに苦しむ日常の苦痛について語った。アレルギーの中には水に対するアレルギーも含まれており、水が肌に触れると「ナイフで皮膚を削ぎ落としたい」と思うほどの苦痛を伴うという。「デイリー・メール」紙（電子版）が報じた。40種類ものアレルギーを抱えるクロエ・ラムジーさん（19）は、命に関わる重篤なアレルギー反応を何度も経験。そのうち何度かは病院に運ばれる深刻なものだったという。「ある日、電車を待っている間に雨に降られてしまい、駅の中に入る頃には止められないほど体をかきむしっていて、まるで薬物中毒者のように見えたと思います」と彼女は振り返った。クロエさんのアレルギーには、バナナ、ジャガイモ、ジェリーベイビーのようなお菓子もあり、これらが引き金となって口や喉が危険なほど腫れ上がり、皮膚にじんましんが現れることもある。
ハンプシャー出身のクロエさんは生後６ヵ月からアレルギーに悩まされてきたが、最近になって正式に「花粉食物症候群（pollen food syndrome）」という診断を受けた。これは花粉由来の物質に反応するアレルギーで、スイーツ、果物、香水なども含まれる。この診断によってアレルギーの原因が説明されたが、最も珍しいのが水アレルギー。医学的には「水性じんましん（aquagenic urticaria）」と呼ばれる。飲む分には問題ないが、水が皮膚に触れると激しい苦痛を伴う。クロエさんは「水が肌に触れると蟻が這っているような、かゆみと痛みを感じるんです。アレルギーは突然現れました。それまではシャワーを普通に浴びていたのに、ある日からかゆみが始まり、どんどん悪化していきました。シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、タオル、スクラブ、水温まで変えてみましたが効果はありませんでした」と振り返る。
アレルギーは新たに現れることが多く、重症度も変動する。そのためクロエさんはエクセルでカラーコード付きのスプレッドシートを作成してアレルギーを管理している。介護士として働くクロエさんは「生後６ヵ月のとき離乳食としてジャガイモやバナナを食べると、顔が青くなって意識を失うことがありました。幸い今ではそこまでひどい反応はなくなりました」と話す。アレルギーの変化によって今はイチゴ、キウイ、フルーツジュースなどを口にできず、香料入りのシャンプーやボディウォッシュも使用できない。クロエさんは月に２度の注射でアレルギー反応を抑えているが、一生続ける必要があると見込まれている。「この注射を一生続けている人はまだ誰もいません。私は完全に治らなかった３％の不運な人間の１人のようです。運が悪いと思うけど、笑い飛ばすしかありません」と明るく笑う。
クロエさんは幼少期、病院に頻繁に通っていたことを覚えている。バナナやジャガイモを食べることでアナフィラキシーショックを引き起こしていたからだ。病院ではアレルギー物質を少量ずつ摂取させる「マイクロドージング」法を用いて体を慣れさせる治療を行った。その結果、一部のアレルギーは時間とともに消滅したが新たなアレルギーも出現した。反応は「侵襲的」で唇の腫れや発赤、呼吸時のかゆみを伴うという。「学校では私専用の青いバンドを身に着けて、給食スタッフの方がアレルギーを把握できるようにしていました。私の食事はすべて一から作ってもらっていました。大学に進学してからが大変でした。社交の場の多くが食事中心となっているので、常にメニューを確認しなければなりません。自分が食べられない物に囲まれていると不安になります」とクロエさんは苦労を語る。
英国では少なくとも５人に１人が何らかのアレルギーを抱えていると言われる。最も一般的なのは花粉症（ヘイフィーバー）で、政府統計によると、英国人の約６％が食物アレルギーを持ち、特にナッツ類に対するアレルギーを持つ人が多いとされている。最も重篤なアレルギー反応はアナフィラキシーと呼ばれ、年間約５千人が入院する事態を引き起こしている。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)
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