ロンドンの秘密の地下鉄、生まれ変わって復活!Mail Rail

76年もの間、ロンドン中心部の地下で人知れず運行され、人知れずその役目を終えた、郵便運搬用の地下鉄「メール・レイル(Mail Rail)」が4日、観光アトラクションとなって復活。小さな小さな『秘密のチューブ』に早速乗車してきた。

© The Postal Museum
1927年に世界初の「無人電気鉄道」として完成。英国全土へ発送される郵便物を、ロンドン東部の仕分け・配送局から、鉄道輸送の主要駅であるリヴァプール・ストリート、ロンドン中心部を横切ってパディントンへと運んでいた。
最盛期には1日22時間、400万通もの郵便物を運搬していたが、新たな配送局のオープンや道路交通網の発達に伴い、徐々に運行数を減らしていった。そして『郵便鉄道マン』たちに惜しまれながら2003年に完全閉鎖したが、その後も「またいつか必要とされるときのために」と、一部のエンジニアがメンテナンスを続けてきた。
前ロンドン市長時代には、トンネルを自転車専用の地下道路にする案や、マッシュルーム・ファームにする案が浮上したが、紆余曲折を経てアトラクションとして生まれ変わったのだ。
かつては郵便物の詰まった袋を満載していた小さな車両は、設置された座席に背筋を伸ばして座ると天井に頭がついてしまうほど。だが、ガラス張りの囲いのおかげでさほど圧迫感はない。高さ約2メートルのトンネルも通常のロンドン地下鉄よりも小ぶりだ。
車両は地下21メートルのトンネルへとゆっくりと走り出す。ガラス越しに間近に迫る天井から垂れさがる鍾乳石、ワイヤーが張り巡らされた壁に、冒険映画に入り込んだような気分になる。トンネル途中にある駅の壁には、地下で過ごしていた局員たちが休み時間に遊んでいたダーツがそのまま飾られており、当時の局員たちの息遣いまでも感じられそうだ。そしてまた別の駅で停車すると、壁一面にメール・レイルの歴史や、手紙と人々が織り成してきた物語などが映し出される。鮮明な画質と流れるようなテンポに見入ってしまう。乗車中ドキリとさせる演出もあり、飽きさせない乗車体験に大満足!
場所は7月28日に先立ってオープンした「郵便博物館(Postal Museum)」。近代郵便制度をいち早く確立させた英国の郵便にまつわる諸々を、見て、触って、遊べる郵便博物館と合わせて、この秋是非訪れてみては?(文/ネイサン弘子)

メール・レイル乗り場は、郵便博物館別館にあるかつての車両整備倉庫。実物の車両や乗って遊べる体感型の模擬車両のほか、郵便鉄道マンたちが使用していたロッカーや仕事道具なども展示されている。© The Postal Museum

The Postal Museum
15-20 Phoenix Place, WC1X 0DA
入場料:大人14.50ポンド、1~15歳 7.25ポンド
※エキシビション、メール・レイル乗車含む ※情報は2017年9月4日現在
www.postalmuseum.org

週刊ジャーニー No.1000(2017年9月7日)掲載

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