2013年2月7日 |
ノーベル賞の国、スウェーデンに学ぶ。 |
日本では、就職活動がたけなわである。今日は、(イギリスにはそれ程はいないだろうとは思いつつ)現在もしくは将来、就活に挑もうとする若者に向けて書いてみたい。本当は、海外に暮らすビジネスマンの立場から、新卒一括採用方式など日本の就活のあり方に対して言いたいことがないわけではないが、今日のところは、そこは所与のものとして書くことにする。
先日、日本の某誌が発表した「就職人気企業ランキング」なるものを見た。世相を反映し安定が重視されている、とかなんとか、それなりの講釈も添えられていたが、言ってしまえば、世間を知らない学生さんによるイメージ投票である。だから、昔から、旅行代理店や菓子製造業の会社がランキング上位の常連である一方で、世界シェア首位のBtoB(※)産業は全く入っていない。
また、ほぼ同じ時期に、「社会人が薦める就職人気企業ランキング」なるものも公表されていた。学生による投票結果よりは少しは役に立つとは思うが、これだってイメージ投票に過ぎない。
日本人は、本当にランキングが大好きだ。ある日突然ランキング発表という行為を禁止したら、日本のTVは成り立たなくなるのではないかと思うほどである。
最も端的な例が、高校や大学の偏差値だ。実際、全ての学校や学部は偏差値で順位付けが出来ると勘違いしている人もいるように思える。その帰結として、何を学んでどのような人生を過ごしたいのかを考えることなしに、少しでも偏差値の高い学校に入ることを目指し、その次は、少しでも人気の高い企業に就職しようと考える。こういう生き方ではどこかで行き詰るに違いない。
たとえるならば、クラスで一番の人気者を彼氏(彼女)にすれば、皆が羨ましがることは請け合いであるが、実際に付き合って幸せかどうかは、クラスでの人気とは全く無関係であるのと同じだ。
人気企業に入社すれば、周りの友人等に羨ましがられるだろうし、異性にも、もてるかもしれない。おそらくは、ご両親も喜ばれるだろうから、何も悪いことではない。ただ、企業サイドから見れば、人気があるから入社したい、というような人は、願い下げなのだ。もちろん、そんなことを口に出す学生はいないだろうが、残念ながら、我々大人が見れば、その辺のことは透けて見える。
別に人気ランキングの発表を止めろとは言わないが、くれぐれも学生の皆さんは、こういうものに惑わされないで欲しい。結局、大切なのは、自分はどんなふうに生きたいのかであり、その会社が果たしている役割や目指そうとする方向性に共感できるか、その上で、自分がどのような役割を果たしていきたいのか(いけると考えているのか)、ではないだろうか。そのあたりを突き詰めて考えてみて欲しい。そして面接では、そのことを正直に語れば良いと思う。後は、縁だ。これも、彼氏や彼女と同じだ。自分が好きになったからと言って、必ず相手も好きになってくれるとは限らないが、好きになったら、好きだと言わないと何も始まらないし、好きになる理由は、他人と同じである必要はないし、正解もない。
何だか、取り留めのない話になってきた。
つまり私は、ただただ、日本の若者達に、伸びやかに晴れやかに自信を持って、社会人生活の入り口をくぐって欲しいと願い、応援しているだけなのだ。
ゴシゴシ。
(※)電子商取引のうち、企業間取引のこと。
新米所長 | 家族を日本に残し一人暮しを満喫中?の好奇心旺盛で酒飲みで親ばかな関西人。 日、米、英を行ったり来たりの後、今は某日系企業のイギリス代表者であるらしい。 |