2013年2月28日 |
好きこそものの上手なれ。 |
先日、本紙読者の方から、私宛に書籍が届いた。在英40年になる日本人の方で、波乱万丈の人生を歩まれ、大変なご努力によって、当地の弁護士資格も取得され、簡単には真似の出来ない素晴らしい功績を残された方の自伝である。私に読んで欲しいという添え書きと共に贈られてきたそうで、早速、拝読した。傍から見れば、大変なご苦労があったはずなのに、淡々と控えめに振り返っておられるのを見て、改めて再認識した言葉が、『好きこそものの上手なれ』である。
この方は、きっと自分の好きなことを(一方で、嫌いなことも)、それほど具体的にではなかったかもしれないが、若い頃からきちんと認識しておられたのだと思う。具体的にどんな職業につきたいとか、そういうことである必要はないのだが、「こつこと努力するのが得意」、「毎日色んな人に会えるのが楽しい」といった個人の好き嫌いというものは必ずあるものだし、胸に手を当てれば大抵の人は、把握しているものであると思う。
好きこそものの上手なれ、というのは、つまり、好きなことをやっているので、他人から見れば大変な努力をしているように見えても、本人にしてみれば、それは苦労でもなんでもない。だからこそ、上達するし実績も上げられる。それを見て、周りの人は、「この人は凄い」「仕事の出来る人だ」と言うようになるということで、ビジネスの世界に限らず、スポーツであれ芸術であれ、成功する人のパターンというのは、こういうサイクルで回っているのではないだろうか。
だから、若い人には、まず自分の好きなこと・嫌いなことを理解するところから、人生の組み立てを考えるようにして欲しいと願っている。こういうことをやっているときは全然苦にならない、という時間の過ごし方を、誰もがこれまでの人生で必ず経験しているはずである。これは、ある意味、ビジネス全般にも通じるものであろう。
さて、突然ではあるが、これまで続けてきた『ニッポンのせんたく』、今号を持って最終回とさせて頂くこととなった。
理由は、私個人の都合によるものである。これまでお読み頂いた読者の皆様に、深くお礼申し上げたい。
手前味噌になるが、本業の傍らで何とか一度も穴を空けることなく、今号まで続けてこられたのは、責任感とかそういう大層なものではなくて、私自身が、好きなことをやっていたからだと思っている。多分、私は考えること、書くこと、それを誰かに読んでもらうことが好きなのだろう。もともと、このような機会を得て多くの方に読んで頂けるコラムを連載するなどとは考えてもいなかったが、毎日ブログに好きなことを書いているうちに、見出してもらい、匿名であることをいいことに、随分と偉そうなことを書かせてもらった。自分の中に別人格を持って、高い視点で物事を考える機会を得たことは大きな財産となっている。これからは、偉そうなことを言った分、自分の出来る範囲で少しでも実践をしていきたいと思っている。したがって、別に苦労があったわけでも、立派なことをやったわけでもなくて、今は、自分の好きなことをやらせて頂けたという感謝の思いで一杯である。
ただ、最後なので、お許し頂けるならば、自分で自分のことも少しだけ褒めてみたい。皆さん、長い間、本当にお世話になりました。もしもアンコールが多ければ、帰ってくるかも…です。
ゴシゴシ(涙)
新米所長 | 家族を日本に残し一人暮しを満喫中?の好奇心旺盛で酒飲みで親ばかな関西人。 日、米、英を行ったり来たりの後、今は某日系企業のイギリス代表者であるらしい。 |